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【経済インサイド】外食大手、赤字転落も 人件費高騰でも値上げできないジレンマの4重苦

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 さらに、ドトール・日レスHDの星野正則社長は、北海道地震で、畜産業での被害が深刻だったため、「今後、牛乳がじりじりと値上がりし、業績に影響を与える」と懸念を示す。

 ■軽減税率で不利に

 さらに、外食産業と業態として競合関係にある中食の攻勢にもさらされている。総菜市場が昨年、初の10兆円台超えになるなど好調で、コンビニ各社は、弁当など中食事業の拡大を進めている。

 特に来年10月に軽減税率が導入される中で、外食の消費税率は10%なのに対し、持ち帰りが前提のコンビニ弁当などは8%ですむ。リンガーハットの秋本英樹社長は「外食のレベルを引き上げて、中食よりも魅力のある商品の開発が必要だ」と強調する。

 ■消費者はデフレマインド

 こうしたなかで価格に転嫁できない現状が経営に最大の打撃となっている。特に、牛丼などは消費者の価格感度が高いとされるため、吉野家では「値上げは計画にない」(河村社長)ままだ。

 また、値上げするにしても、極めて少額での対応に限定される。リンガーハットは8月にちゃんぽんを東日本エリアで10円引き上げ590円に、西日本では20円上げた560円に価格改定した。前田泰司副社長は「かつて50円の値上げを実施した際は1年以上の客離れが起きたことを反省した」と語り、値上げ幅へのこだわりをみせた。成果は上々で、「今回は心配するような客離れは起きていない」と分析している。

 「人件費高騰」「原材料価格の上昇」「軽減税率」「消費者マインド」という4重苦が外食産業に重くのしかかなか、各社は対策を急いでいる。

 吉野家では「黒い吉野家」と呼ばれる「キャッシュ&キャリー」方式の新業態店舗を年間100店舗のペースで増やしていく。既存の吉野家ではカウンターを中心に、店舗スタッフが注文を受け、牛丼を盛りつけ、配膳(はいぜん)、後片付け、会計をこなすため、動き回る必要があった。

 新型店は、学食や社員食堂のように、並べられた商品を客がトレーに乗せて運ぶセルフ方式。接客スタッフはレジの前で会計するだけでほとんど動かずにすむ上に人数を削減できる。シニアのスタッフも対応できることで、人件費の削減につなげられる。また、客単価増加も期待できる。

 リンガーハットのとんかつチェーン「濱かつ」では、連続フライヤーを導入する。提供時間の短縮と、とんかつをあげる鍋に職人やスタッフが張りつかなくてもいいようにする。人の作業を機械や道具でまかなう対応を進めることで、店舗内スタッフを減らし、人件費高騰に対応する考えだ。(経済本部 平尾孝)

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