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リーマン10年 米中貿易戦争は世界を安定させる 編集委員・田村秀男

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 「100年に一度の大津波」と世界を戦慄させたリーマン・ショックから10年。「米中貿易戦争」が勃発し、中国発の国際金融危機発生懸念の声が出ているが、早合点は禁物だ。米国の対中強硬策は中国金融の行き過ぎを抑え、安全保障を含めたアジアや世界の安定につながる。

 中国の金融危機は急速に膨れ上がる債務が元凶という点でリーマンと共通する。中国の金融部門を除く総債務の国内総生産(GDP)比は、2008年の1・4倍から17年には2・5倍に跳ね上がった。

 中国の通貨金融制度は流入するドルを全て中国人民銀行が決める交換レートで買い上げ、人民元資金を市中銀行経由で企業、地方政府、家計へと供給する。主な外貨源は対外貿易黒字と外国からの直接投資で、リーマン後10年間合計の全貿易黒字は3・7兆ドル(約414兆円)、直接投資は2・2兆ドルに上る。

 人民銀行は潤沢な外貨を裏付けにして人民元を発行し、不動産開発や工業生産に振り向ける。同時に対外投資や軍拡にも外貨を投入してきた。習近平国家主席肝いりの巨大経済圏構想「一帯一路」の推進や、南シナ海などへの海洋進出もまたリーマン後の米金融緩和の鬼子である。

 米国はリーマン後、ビジネス機会を中国市場に期待し、中国の知的財産権侵害、技術の窃取などの不公正貿易慣行や金融規制を黙認してきた。おかげで習政権は対米を中心に輸出攻勢をかけ、外国企業の対中投資を呼び込んでは外貨を獲得し、国内金融を安易に膨らますことができた。

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