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【リーマン10年 危機後の世界】(2)トランプを生んだポピュリズム、世界を席巻

米国のGDP成長率推移
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 全米有数の工業都市として知られる東部ペンシルベニア州ピッツバーグ。発展を支えた鉄鋼業が衰退し、一時は閑散とした工場跡地が点在した街は今、製造業の復活に沸いている。

 通称「ロボット工学街」-。市中心部の周辺で、そう呼ばれるロボット関連企業の集積地では、かつて製鉄所や食品工場だった建物跡に企業が続々と入居し、技術開発にしのぎを削る。

 「技術者を1年以内に倍増させる計画だ。ここに入居してまだ1年だが、間もなく手狭になりそうだ」

 研究用ロボット開発を手がける「HEBIロボティクス」最高執行責任者(COO)のボブ・レイダ(47)は声を弾ませる。 こうした跡地を産業団地として再開発する地域産業開発公社(RIDC)は、先端企業向けの新たな物件を近く開業する。日本のソニーや米電機大手が去った跡地では、新たなメーカーが集まり、活気づいた。リーマン・ショック翌年の2009年に社長に就任したドナルド・スミス(53)は「当初は再開発の成功を誰もが疑っていた」と振り返る。

 米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した世界的な金融危機の震源地となった米国の景気は、好調そのものだ。失業率は4%弱と史上最低水準となった。3%台の経済成長率も射程内。利上げを続ける連邦準備制度理事会(FRB)は、危機対応策からの完全脱却を急ぐ。

 低成長にあえいだ「リーマン後」と無縁にみえる米国だが、金融危機が社会に落とした痕跡は深い。

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 「金融危機の遺産。それはドナルド・トランプだ」

 16年大統領選で、白人労働者層に訴える選挙戦を展開し、トランプ大統領誕生の舞台回しを担った元大統領首席戦略官のスティーブン・バノン(64)は、今年8月の米誌インタビューにそう答えた。

 リーマン破綻後の08年10月に株価が暴落。バノンの父マーティーは、急落した通信大手AT&Tの保有株を手放し、蓄えを失った。AT&Tはマーティーが50年近く勤務した会社。株はこつこつと投資してきた老後の貯蓄でもあった。バノンは以前にも、巨大銀行が政府に救済される一方、「世界中のマーティー・バノンに誰も注意を払わなかった」理不尽さへの怒りを米紙に語ったことがある。

 リーマン破綻が「反グローバリズム・反主流派」の政治信条の出発点になったバノンだが、昨年8月にホワイトハウスの権力闘争に敗れ、政権を去った。それでも、国際化の波に取り残された労働者に訴えるトランプの「ポピュリズム(大衆迎合主義)」に形を変え米国を揺るがしている。

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