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【正論】「日欧EPA」樹立の意義は何か 東洋学園大学教授・櫻田淳

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【正論】
「日欧EPA」樹立の意義は何か 東洋学園大学教授・櫻田淳

東洋学園大学教授・櫻田淳氏 東洋学園大学教授・櫻田淳氏

 ≪明治150年の正しい歩み示す

 第一次世界大戦とロシア共産主義革命を経て、世界大恐慌の最中にあった1930年代、自由と民主主義といった価値意識も、欧州世界では決して盤石ではなかった。

 現在では『二千五百年史』や『新日本史』といった史書の著者として名を残す竹越與三郎は、その著『旋風裡の日本』書中、往時の世界史的な価値意識の動揺のもと、日本がファシズムになだれ込む流れの中で次のように記した。

 「欧洲大戦の後を受けて世界は今や動蕩(どうとう)、混乱の最中である。併(しか)しながら近世文明を樹立したる文明人は、必らず、その国家社会を再建するであらうことは、余の信じて疑はざる所である。そして再建せられたる文明の大建築は、依然として所謂(いわゆる)資本主義の文明であらうことも、また信じて疑はざる所である。それは歴史の示すゴールであるからである。

 …決して狼狽(ろうばい)してはならぬ。決して失神してはならぬ。自信を以て毅然(きぜん)として邁進(まいしん)せねばならぬ」

 日欧EPA締結が象徴する日欧関係の現状は、「明治150年」の歳月における日本の歩みが正しかったことを示す。

 そうであるならば、今後の日本が心掛けるべきは、トゥスク議長の発言にある「開放性と協調と秩序とに裏付けられた国際秩序と自由貿易、自由民主主義、人権、法の支配の価値」の擁護に際して、竹越の記述にある「狼狽も失神もせず自信を以て毅然として邁進する」姿勢を貫徹することでしかない。

 それは、平成の次の御代、そして「明治200年」を展望する上でも大事なことである。(さくらだ じゅん)

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