産経ニュース

【正論】「日欧EPA」樹立の意義は何か 東洋学園大学教授・櫻田淳

ニュース 経済

記事詳細

更新

【正論】
「日欧EPA」樹立の意義は何か 東洋学園大学教授・櫻田淳

東洋学園大学教授・櫻田淳氏 東洋学園大学教授・櫻田淳氏

 ≪悲願だった「対等な交易圏」

 福澤諭吉が『文明論之概略』書中に残した「今世界の文明を論ずるに、欧羅巴諸国並に亜米利加の合衆国を以(もっ)て最上の文明国と為し、土耳古、支那、日本等、亜細亜の諸国を以て半開の国と称し…」の記述を踏まえれば、その「文明」の域に達することこそが、近代日本の至上の大義であった。

 第二次世界大戦後には、高坂正堯(国際政治学者)が日本を「極西の国」と呼び、梅棹忠夫(生態学者)が「文明上、日本に近いのは西欧である」という仮説を提示した。

 それは、特に昭和初期以降の「アジア関与」の失敗を経て、日本の人々が「表層的な国力だけではなく、『文明』に内包された価値意識の上でも、西洋世界に近しい存在になる」と再確認した事情と軌を一にしている。

 故に、日欧EPA締結は、条約改正の実現に精力を費やした明治日本の指導層が、百数十年後の日本が欧州世界と「対等な交易圏」を樹立する光景を目にしたら、何を思うのであろうか、と想像させるに足る意義を持つ。

 そして、トゥスク議長の件(くだん)の発言は、そうした日本の永きに渉(わた)る「自画像」を欧州世界の最高政治指導者の立場で肯定した。その意義は甚だ大きいといえよう。

続きを読む

「ニュース」のランキング