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【湯浅博の世界読解】中国の悪弊を封じ込めるため、トランプ政権は同盟国と協力を

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【湯浅博の世界読解】
中国の悪弊を封じ込めるため、トランプ政権は同盟国と協力を

 トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=2017年11月、北京の人民大会堂(共同)  トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=2017年11月、北京の人民大会堂(共同)

 太平洋を挟んだ貿易戦争がついに始まった。

 米国の大型貨物船「ピークペガサス」は、全速力で大海原を西に向かっていた。船倉には、米西海岸で積んだ中国向けの大豆を満載している。

 ピークペガサスがまだ洋上にある6日正午(北京時間)すぎ、ワシントンは事前の布告どおりに中国製品に対する制裁関税を発動させた。理由は、中国による国際ルール無視の知的財産権侵害による悪弊にある。

 船長は中国が対抗して報復関税の引き金を引く前に、大連港での荷揚げを済ませたいと急いでいた。

 だが、大型船の入港直前に中国が報復を発動させた。ピークペガサスは多くの米中両国の貿易会社やビジネスマンとともに、この貿易戦争の最初の犠牲者になった。全米商工会議所のトーマス・ドナヒュー会頭は、「関税は誰にとっても、価格を引き上げる増税と同じである」と嘆いた。

 減税案を掲げるトランプ政権が「増税」とはどういうことなのか。確かに、貿易戦争によって高関税を払うのは外国企業ではない。自動的にモノの値段が上がって、つまりは米国の消費者が支払うことになる。すると、その分が政府の懐に歳入として入ることになるから、会頭のいうように「増税」と少しも変わらないことになる。

 トランプ大統領の支持基盤である米中西部の人々は、はじめは追加関税に留飲を下げても、やがては物価の上昇、株価の下落、農産物は中国市場を失う懸念が現実化する。それは、中国におけるピークペガサスの大豆も同じことになる。

 とはいえ、トランプ政権が中国の国際ルール無視の振る舞いに、乱暴ではあるが対抗措置に踏み切るのは当然なのだ。

 周知の通り、中国の対外政策はどこまでも自己中心的である。広域経済圏構想の「一帯一路」は、途上国のインフラ整備に高利で貸し付け、返済不能になると「租借」名目で港湾などを巻き上げる。習近平政権の産業政策「中国製造2025」計画は、他国の技術を強制的に移転し、知的財産権の侵害も辞さない。

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