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【経済ななめ読み】産業革新機構、シャープ争奪完敗から1年

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【経済ななめ読み】
産業革新機構、シャープ争奪完敗から1年

昨年4月、にこやかに会見したシャープの高橋社長(右)と鴻海の郭台銘会長だったが、同7月末までに出資は完了しなかった 昨年4月、にこやかに会見したシャープの高橋社長(右)と鴻海の郭台銘会長だったが、同7月末までに出資は完了しなかった

 シャープが台湾・鴻海精密工業の傘下に入って今月12日で、1年になった。違う見方をすれば、産業革新機構が鴻海との争奪戦に完敗して1年である。

 当時、世の中に印象付けたのは政府系機関の威光の陰りだ。巨額資金をバックに買収を仕掛けてきた企業に対し、国が関与する産業革新機構では歯が立たなかった。

 争奪戦のカギを握っていた銀行サイドも結果的に鴻海側についた。ある金融マンは「お上の考えに横やりを入れるなんて昔は考えられなかった」と感慨深く語っていた。護送船団の金融監督行政の時代はとっくに終わり、大手銀行は不良債権処理で投入された公的資金も返しきった。役人の顔色をさほどうかがう必要もなくなったから当然だ。

 しかも、革新機構が関わった液晶事業などの再編策はうまくいっているとはいえず、組織の限界も指摘される。

 市場経済の論理を前に「次世代の国富を担う産業を創出する」という革新機構の理念さえかすんで見える。革新機構を所管する経済産業省は、好業績をあげるシャープをみて、悔しさをかみしめているだろうか。(一)

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