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【東芝危機】
米WD、東芝メモリ買収額を2兆円に引き上げ 将来の経営権めぐり調整難航も
東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、提携先の米ウエスタンデジタル(WD)が新たな買収の譲歩案を提示する方向で調整に入った。産業革新機構などの「日米連合」に合流する際の買収額を、2兆円規模に引き上げることなどを検討している。ただ、日米連合側はWDが将来の経営権取得を視野に入れていることに難色を示しており、交渉の行方は流動的だ。(万福博之)
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資金拠出 株から社債に転換
「努力をしていると思うが、なかなか難しい」
東芝関係者は、9日の綱川智社長とWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)の会談で、WDが譲歩を見せたことについて、こう話した。
関係者によると、WDの譲歩案は官民ファンドの革新機構と日本政策投資銀行、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が組む日米連合への合流を前提に、買収額を2兆円弱に引き上げ、WDは社債の形で資金を拠出するという内容。従来は日米連合が1兆8千億円程度、WDはそれよりも少なかった。
WDは週内にも新たな譲歩案を正式に示し、東芝が求める2兆円に沿った買収額を提示する意向だ。しかし、他陣営に比べて見劣りする金額の上積みが決定打になるかは不透明だ。