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【九州から原発が消えてよいのか】第10部(2)「送電設備はもう、ぼろぼろだ」/巨大インフラ崩壊の危機

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【九州から原発が消えてよいのか】
第10部(2)「送電設備はもう、ぼろぼろだ」/巨大インフラ崩壊の危機

 九州には102の有人離島がある。この全ての島に電気が送られている。

 「停電事故が発生しました。出社できる人は、ただちに出社してください」

 5月17日午後4時1分。佐賀県唐津市の沖合約3キロにある高島の全域が停電した。周囲3キロの小さな高島には、約260人が暮らす。「宝くじが当たる」といわれる宝当神社が有名で、観光客も多い。

 一分一秒でも早く電気を復旧しなければならない。

 当直からの呼び出しに、九州電力唐津営業所や九電工の社員ら25人が営業所に駆けつけ、復旧チームを結成した。

 停電の原因はすぐに特定できなかった。復旧チームは、民間の船会社から船を借り、高圧発電機車を島に運んだ。発生から約4時間後の午後7時58分、発電機車から電気が送られ、島に灯りが戻った。島民は電気がない夜を免れた。

 その夜、トラブルの原因が判明した。

 高島には海底ケーブルで電気を送っている。九州本土側で、海底ケーブルにつながる電線が焼けていた。部品を交換するには2カ月程度かかる。

 2カ月もの間、発電機車に燃料の軽油を補充し続けるのは現実的ではない。復旧チームは焼けた電線を迂回(うかい)し、海底ケーブルにつながる新たな送電ルート構築を決断した。

 「電柱をいかに早く、安全な場所に設置するかが大事。それを急いで判断しなければならなかった」。九電唐津営業所工事サービスグループ長、村田剛はこうふり返った。

 復旧チームの作業員は、翌日早朝から高島が見える海岸を歩いた。目に止まったのは、ある岩場だった。ここに電柱を立てれば、海底ケーブルに電線をつなぎやすい。

 だが、その場所は満潮時には海に沈む、でこぼこした岩ばかりの場所だった。取りつけ作業は難航した。電柱を支える基礎のコンクリートだけで200キロにもなる。作業員は岩で足を滑らせながら、4~5人で電柱4本を運び、電線をつないだ。

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