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【話題の肝】「アマゾンでウチの本は売らない」巨人に立ち向かう小規模出版社の“矜持”

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【話題の肝】
「アマゾンでウチの本は売らない」巨人に立ち向かう小規模出版社の“矜持”

記者会見で、アマゾンへの本の出荷を停止したと明らかにした晩成書房の水野久社長(右)と緑風出版の高須次郎社長(中央)ら=平成26年5月、東京都文京区

 晩成書房などが加盟する日本出版者協議会(出版協)は、中小の出版社95社が加盟する業界団体だ。出版協は、大学・大学院・短大の学生を対象に書籍を注文した時点で原則10%のポイントを還元する「アマゾン・スチューデント・プログラム」(平成24年サービス開始)が、再販制度が禁じる値引き販売に当たるとして、同サービスの中止などを求め、24年秋から申し入れを行ってきた。これに対してアマゾンの回答は、出版協に加盟する出版社とは、直接再販契約に基づく取引を行っていない(契約当事者ではない)ことを理由に「回答できない」というものだった。

 おさらいすると、再販制度というのは、メーカーが価格(定価)を決め、販売店などにその価格を守らせる制度だ。現在は書籍、雑誌、新聞、音楽ソフト(CDなど)に対して認められている。ちなみに電子書籍、音楽配信、映像ソフト(ビデオ、DVD、ブルーレイなど)、ゲームソフトなどは対象外だ。

 また、例外はあるが、多くの出版社は直接書店に本を卸すのではなく、取次と呼ばれる問屋を通す。具体的な社名を挙げると、日販(日本出版販売)、トーハン、大阪屋など。アマゾンも日販や大阪屋などを通じて書籍を仕入れている。つまり、アマゾンの契約相手は日販をはじめとする取次であり、申し入れを行った出版社ではないから契約相手以外への回答を控えるということだ。

 出版協はアマゾンや取次と交渉を重ねるなかで、業界団体としての行動が独占禁止法が規制するカルテルに当たる可能性があるとの指摘を受け、個々に対応を協議する方針に転換。晩成書房などは自社の出版物をスチューデント・プログラムから除外するよう、取次を通じて求めたがかなわず、26年5月に3社がそれぞれ半年間(11月に27年2月初旬まで3カ月間延長)、アマゾンへの出荷停止を表明した。

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