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【日曜経済講座】揺さぶられる貿易立国・日本 貿易赤字、過去最大 論説委員・井伊重之

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【日曜経済講座】
揺さぶられる貿易立国・日本 貿易赤字、過去最大 論説委員・井伊重之

 ■輸出増へ産業構造改革を

 貿易立国・日本が足元から揺さぶられている。モノの輸出額から輸入額を差し引いた昨年の貿易収支は、過去最大の赤字を記録した。貿易赤字は3年連続だ。とくに昨年はアベノミクスで円安が進んだが、期待したほど輸出が伸びなかった。このまま貿易赤字が定着すれば、モノやサービス、金融を合わせた経常収支も赤字に転落する懸念がある。輸出回復に向けた構造改革が問われている。

 昨年の貿易赤字は初めて10兆円の大台を突破し、11兆4745億円と前年に比べ約4兆5千億円も増加した。

 赤字拡大の要因は主に2つだ。原発の相次ぐ稼働停止に伴い、火力発電向け燃料の輸入が増えたことがまず一つ。円安で輸入金額もかさ上げされた。この燃料輸入増によって貿易収支は約2兆6千億円悪化した。

 もう一つが円安効果を生かし切れず、輸出が伸び悩んだことだ。

 昨年の円相場はドルに比べて前年平均より2割超も下がったが、輸出金額は約1割の増加にとどまり、輸出数量は微減だ。一方で輸入金額は15%伸びた。燃料以外にも電気製品などが景気の回復機運で増えたためだ。

 円安で輸入価格が上昇すると、一時的に貿易赤字は拡大するが、時間の経過とともに円安効果で輸出数量が増え、最終的に貿易赤字は縮小に向かう-。これを「Jカーブ効果」と呼ぶが、今回の円安局面ではこの効果がほとんど表れていない。これには政府も首をかしげ、複数の専門家に分析を求めたほどだ。

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