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【翻弄された諫早干拓~開門期限あと半年】(1)菅元首相が残した時限爆弾

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【翻弄された諫早干拓~開門期限あと半年】
(1)菅元首相が残した時限爆弾

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 このような経緯があるだけに長崎県や諫早市は、開門期限が半年後に迫る今も「開門阻止」の強硬姿勢を崩さない。裏には「開門して高潮などで農作物に大損害が出たら誰が責任を取るのか」との思いがにじむ。

 高裁判決後、専門家による有明海の海洋環境や、開門による生活、営農、漁業への研究が進み、「諫早湾遮断と海洋汚染の因果関係はない」とする意見が強まっていることも大きい。農水省が昨年8月に公表した環境アセスでも因果関係は立証されなかった。

 福岡高裁判決を否定するかのような判決が出たことも地元の背中を押した。

 「25年12月まで」という開門期限に不満を持つ反対派が「即時開門」を求めて起こした訴訟で、長崎地裁は23年6月、「漁獲量減少と干拓事業の因果関係は認められない」「事業には防災効果や営農効果がある」と請求を却下したのだ。

 昨年12月には民主党政権は終わりを告げ、自民党政権に変わった。

 中村氏は今月12日、意を決して農水省を訪れ、林芳正農水相に開門調査の白紙撤回を求めた。手渡した意見書には「開門しても有明海の環境改善につながる具体的効果が期待できない一方、防災、営農、漁業面に被害が生ずることは科学的、客観的に明らかになった」と記されていた。

 ただ、林氏は「政府は開門義務を負っており、地元の同意を得られるようにするのが責務だ」と述べ、司法判断に従い、開門調査に踏み切らざるを得ないとの考えを示した。代わりに開門後の塩害被害に備え、海水の淡水化施設の建設工事の契約を業者と結んだことを明らかにしたが、被害を前提に開門することに地元が納得するはずもない。

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