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【翻弄された諫早干拓~開門期限あと半年】(1)菅元首相が残した時限爆弾

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【翻弄された諫早干拓~開門期限あと半年】
(1)菅元首相が残した時限爆弾

 「私自身も1997(平成9)年のギロチン工事以来、現地に何度も足を運び、私なりの知見を持っておりました。すでに工事は終了しているわけですが、開門により海をきれいにしていこうという高裁の判断は大変重いものがあると判断して上告しないという最終判断を下したところであります。以上です」

 平成22年12月15日、民主党の菅直人首相(当時)は記者団を緊急に集め、「国営諫早湾干拓事業」(長崎県諫早市)の潮受け堤防の開門調査実施を命じる福岡高裁の控訴審判決を受け入れる方針を表明した。

 菅氏はかねて諫早湾干拓事業を「無駄な公共事業」の象徴と捉え、全長7キロの堤防で293枚の鉄板が海を遮断する様子を「ギロチン」と名付けて自民党政権を糾弾してきた。テレビカメラを引き連れて堤防を視察し、「今すぐ開けなさい!」と職員を怒鳴りつけたこともある。

 それだけに「堤防が有明海の環境を悪化させた」とする反対派の主張を認め、堤防排水門を3年以内に常時開門するよう命じた福岡高裁判決は「我が意を得たり」だったはず。13年5月に小泉純一郎首相(当時)がハンセン病国賠訴訟の熊本地裁判決を受け入れ、喝采を浴びたことも脳裏をよぎったに違いない。

 その証拠に同じ夜、再び記者団の取材に応じ、得意満面にこう語った。

 「まあ、私は国会議員の中でも(問題を)よく知っている一人だと思っています。諫早干拓事業は色々な意味で象徴的な事業です。私は歴史的に反省があってもいいんじゃないかと思っています」

 だが、その場しのぎの人気取りで支持率が回復するはずもなく、その後東日本大震災や福島第1原発事故で失政を続けたあげく菅氏は翌23年9月に退陣に追い込まれた。自業自得としか言いようがないが、上告断念による禍根はなお残り、解決の筋道は見えない。

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