「まったり生きる」若者に期待 博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー・原田曜平氏

リーマン10年 識者に聞く
博報堂・原田曜平氏(酒巻俊介撮影)

 世界経済を揺るがしたリーマン・ショックから15日で10年。危機は、その後の経済だけでなく、国際社会や人々の生き方にも大きな影響を及ぼした。危機後の変化をどうみるか。識者に聞いた。

 --リーマン・ショックが若者に与えた影響は

 「米国は典型的だが、以前はビッグマウスで夢を語っていたが『身の丈で生きたい』と言うようになった。ドラマも以前は『ゴシップガール』というセレブの子供のドラマがはやっていたが、リーマン後は『ガールズ』という、貧しく等身大の主人公が出演するドラマが人気だ」

 --変化は日本でも起きた

 「バブル崩壊や長引く不況を経験し、ようやく持ち直したころに起きたのがリーマン・ショックで大きな変化を与えた。日本を含め先進国の若者に共通するキーワードに『チル(chill)』がある。日本語だと『まったりする』といった意味で、『カフェでチルってる』といった具合に使う。リーマン後は日本社会も成熟し、頑張れば報われる社会ではなくなってきた。そこで、頑張るよりもチルって生きている方がよいと考えるようになった」

 --現状をどう思うか

 「それが成熟社会だと考えれば自然なことだ。若者の満足度は年々上がっており、満足度を満たす基準は下がっている。昔のように高級車が欲しいとか欲望があれば満足しないが、今の若者にはそれがない。高級な車や時計など誰も持っていない時代にはあこがれるが、今は中古ならフリーターでも買える時代だ」

 --今の若者に期待することは

 「今の若者の方が共感性が高く優しいという特徴がある。SNS(会員制交流サイト)などで色んな声が届くようになっており、人種やLGBT(性的少数者)への偏見も少ない。昔の世代の方がかっこいい車をつくるのは得意だが、今の若者の方がやさしい機能を持った商品をつくるという点では素質があると思う。その特性をビジネスなどにも生かしてほしい」(聞き手 蕎麦谷里志)