設備投資進むも個人消費鈍く 4~6月期GDP改定値 自然災害リスクも重しに - 産経ニュース

設備投資進むも個人消費鈍く 4~6月期GDP改定値 自然災害リスクも重しに

 4~6月期のGDP改定値が実質で2年3カ月ぶりの高水準となったのは、企業の設備投資が持ち直したことが大きい。ただ、GDPの約6割を占める個人消費は回復途上で政府が目指す消費主導の経済成長シナリオの実現にはほど遠い。足元の北海道の地震など相次ぐ自然災害が訪日客の減少や食料品などの値上がりを招き、消費の回復をさらに遅らせれば日本経済の大きな重しとなりかねない。
 「民需の増加に支えられた成長が続いている」
 菅義偉官房長官は10日の記者会見で、足元の日本経済は設備投資の伸びが支えているとの認識を示した。
 実際、低金利や好調な業績を背景に企業の設備投資意欲は旺盛だ。トヨタ自動車は平成31年3月期に前年同期比5・2%増の1兆3700億円を計画し、パナソニックも今年度に3800億円と高水準の投資を継続。人手不足に対応するため食品工場などでも省力化機械の導入が急ピッチだ。
 一方で、個人消費の回復は道半ばで、日本経済を牽引(けんいん)する力強さを欠いている。人手不足で賃金自体は上昇基調にあるが、残業代削減などに相殺され、消費に回らないためだ。
 その中で足元の消費の牽引役を担っていたのが猛暑商戦。家庭用エアコンの7月の出荷台数は前年同月比10・9%増の176万3千台と統計が確認できる昭和47年以降で単月ベースで過去最高となった。日傘やサングラスなどの夏用雑貨の売り上げが伸びた大手百貨店も8月の既存店売上高が軒並み前年実績を上回り、猛暑が消費を押し上げた。
 追い風が吹く中で大きな懸案となっているのが相次ぐ自然災害だ。台風21号と北海道での地震の影響により関西圏や北海道への訪日客は減り始めている。
 大阪市内の商店街では関西国際空港の閉鎖により、外国人客が普段の半分まで減少した店舗もある。北海道でも、厳しい節電要請が長期化すれば訪日客への影響は避けられない。野菜や乳製品への供給影響が続けば、食料品の値上がりで消費意欲が減退しかねない。
 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは災害多発の影響により「7~9月期の日本経済は、2四半期ぶりのマイナス成長を記録する可能性がある」とみる。消費が落ち込めば、企業の設備投資意欲にも大きな影響を及ぼしかねず、政府に、大規模な財政出動を求める声が強まる可能性もある。(今井裕治)