個人データ提供します 日立など6社連合が「情報銀行」試験へ

 

 日立製作所は10日、健康情報や収入などのデータを預かり、本人の同意を得た上で企業などに提供する「情報銀行」の実証実験を東京海上日動火災保険や日本郵便などと6社共同で開始したと発表した。平成31年度にも事業化したい考え。商品やサービスの開発で消費者の好みや暮らしぶりなどに関するデータのニーズが高まる中、個人のデータを提供するビジネスへの参入も相次いでいる。

 日立は今年度末にかけ、社員200人の個人データを用いた実証実験を行う。参加者はリストバンド型センサーを身につけ、歩数や心拍数などのデータを提供する。人事部門を通じて収入データ、電力使用計測システム会社から家庭での家電の電力使用データなども収集する。

 日立はデータの管理と運用を担い、データを利用する企業に提供する。東京海上は家電を対象にした保険サービスの開発、日本郵便は在宅率に応じた宅配ルートの改善などを検討する。今回は利用企業にとってのデータ活用の有効性の検証が狙いで、参加者にデータの対価としてのお金やサービスは提供しない。

 日立は実証実験を通じて情報銀行の仕組みづくりを急ぐ。ITシステムの構築やデータを扱う上での匿名化で技術を生かす考え。

 情報銀行をめぐっては、三菱UFJ信託銀行や電通も参入を決めた。多様な業種が情報銀行に商機を見いだすのは「情報が次のビジネスの優劣を左右する」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)ためだ。企業が膨大な個人情報を分析すれば、効果的なマーケティングやサービスの提供が可能になるなど利点は大きい。

 現状ではグーグルやアマゾンなど米国のIT関連企業が個人データを独占的に収集し、商業利用して巨額の利益を上げている。一方、欧州を中心にこうした手法に批判が高まり、個人が主体的にデータを扱うべきだとの考えが広がってきた。しかし、個人が膨大な情報をコントロールするには限界もあることから、仲介する情報銀行が注目されている。