捜査、訴訟、巨額罰金も…神鋼にリスク山積

神戸製鋼データ改竄

 株主総会では4月に就任した山口貢社長らの取締役選任案が可決され、経営陣は再起に向けて最初のヤマ場を乗り切った。しかし、出席した株主からは不正を長年放置した体質などを問う声が相次ぎ、不信感の根強さをうかがわせた。国内外の捜査や訴訟次第では顧客離れが進んで業績に打撃を与えかねず、経営陣にとっては厳しい局面が続く。

 午前10時に始まった総会は、1時間45分で終了した。製鉄所から排出される煤煙(ばいえん)のデータ改竄(かいざん)が発覚した平成18年(4時間2分)の半分以下。過去10年で最も短い。兵庫県宝塚市の男性株主(79)は「もめる総会を想像していたが、山口社長が冷静に質問に対処していたことで、今後に安心感が持てた」と評価した。

 だが、荒れずに終わった背景には、顧客離れの目立った動きがなく、業績が回復基調にある中で、様子見のムードが漂っていたことがあるとみられる。刷新された経営陣も信用されているとは言い難い。大阪市の60代男性は「外部からプロ経営者を招くくらいの改革が必要」と訴えた。

 経営の先行きは依然、不透明だ。不正競争防止法違反で刑事罰が科されれば、信頼回復はさらに遠のく。性能データを改竄した問題製品の供給先には米航空機大手ボーイングなどが含まれ、米司法省から巨額の罰金を科される恐れもある。米国とカナダでは集団訴訟も抱える。

 総会では、損害賠償の請求額に関する質問も出たが、山口氏は「請求額が分からない。米司法省への罰金額なども、まだ提示がない」と答えるしかなかった。

 経営リスクを反映し、同社の株価は不正発覚前に比べ2割程度下落したままだ。兵庫県明石市の男性(80)は「株価を回復させてほしい」と訴えていた。