ばら積みの空揚げもつかむ頼れる“右腕”に進化 工場などで人と一緒に働くロボット

テクノロジー最前線
米オサロとデンソーウェーブなどが共同開発した「ばら積み」の空揚げでも1個ずつつかむ腕型ロボット=13日、東京都江東区

 「腕型ロボット」は人手不足解消の切り札になれるか-。箱詰めや包装、値札貼りなどの単純作業を、ラインに入って人と一緒に行う小型の腕型ロボットが存在感を増している。手先の器具やソフトを変えることでさまざまな作業に対応し、狭い場所にも置けて安全性も高い。5年ほど前に世の中に登場した当初は技術的に中途半端な印象も受けたが、その実用性から今や協働ロボットの目玉として多くのメーカーが参入する分野に育ち、各社がしのぎを削っている。

 日本が誇るロボット産業。どうしても二足歩行のヒト型が目立つが、自動車や半導体などの製造業はもちろん、食品産業や流通業でも産業用ロボは黙々と働き、生産性の向上に貢献してきた。工業製品の高品質化や作業の省力化には欠かせず、産業競争力はロボットをいかに味方に付けるかで決まるといっても過言ではない。

 そうした中、2013年頃に、コンパクトで万能型の腕の形をしたロボットの提案があった。自動車を組み立てるなど重いものを運ぶ大型のロボットアームはあったが、これを小型化。手作業の領域に入っていくというコンセプトが斬新だった。すでにホンダの「アシモ」(2000年発表)をはじめとする二足歩行ロボットがあったが、思い切って不安定な足や顔などを省いた。

 調査会社の富士経済によると、これらの腕型ロボットを含む「ヒト協調ロボット」の国内市場は25年には17年比で約15倍の1000億円に拡大する見通し。さらには家事ロボットとして発展していく可能性もありそうだ。

 6月12~15日に東京都江東区のビッグサイトで開催された国際食品工業展(FOOMA)でも、各社が機能を競っていた。注目を集めていたのが、米国のAI(人工知能)ベンチャー、オサロ(サンフランシスコ市)がデンソーウェーブと共同で展開するロボットだ。

 オサロのロボットはAIにより高度な画像認識ができることを特徴としている。通常のロボットは、あらかじめ対象物のCAD(コンピューター支援設計)データなどを登録しておき、視覚情報とマッチングする。このため、1個1個が重ならないようにしたり、規則的に並べるなどの補助的な作業が必要だった。オサロの技術は、ディープラーニング(深層学習)を駆使しており、画像から物体を1個ずつ認識できる。デモンストレーションでは、ばら積みにされた空揚げを的確につかみ、弁当箱に次々と配置していた。

 多くのメーカーが1本腕タイプを展開する中で、2本腕を特徴とするのが、川崎重工業だ。片手で容器を押さえて、もう一方の手で中身をすくい取るなど、より人間に近い複雑な作業ができるとうたっている。

 一方、オムロンは搬送用のロボットでヒトと協働する。昨年4月には日本航空と共同で福岡空港で手荷物の運搬実験をしているが、他の歩行者が飛び出てきてもぶつからずに随行するのが特徴だ。また、台湾のテックマン社の腕型ロボットとの提携を発表したばかりで、上下が合体することで、将来は、ものの搬送だけでなく、持ち上げてトレーに載せかえるなどができるようになり、文字通り“手となり足となって”働いてくれるそうだ。(WEB編集チーム 原田成樹、写真も)