打撃は来期本格化、資産切り売りも

神戸製鋼データ改竄

 神戸製鋼所が平成30年3月期の連結最終損益予想を撤回したのは、データ改竄問題で経営の先行きが見通せなくなっているためだ。今期は3期ぶりの最終黒字への転換を目指したが、V字回復ムードに自ら水を差した。影響が本格的に出るのは来期以降になるとの見方が強く、赤字に逆戻りする可能性も否めない。

 「具体的な影響を算出できていない」。30日の記者会見で梅原尚人副社長は、苦渋の表情を浮かべながら、こう繰り返した。

 神戸製鋼は期初の4月下旬、今期の最終利益を300億円と予想し、7月下旬には350億円に引き上げた。前期に巨額の赤字を出した鉄鋼と建設機械の両事業が改善、今期の黒字回復はほぼ確実とみられたが一転して視界不良に陥った。

 今回、経常利益について見通しを公表し、従来の550億円から50億円引き下げた。データを改竄した問題製品の処分費用などの関連で見積もれる分は「100億円程度の(経常)減益要因として織り込んだ」(梅原副社長)とする。

 もっとも、打撃はこれで済みそうもない。問題製品を使った部品の交換では数社と費用負担の協議を始めたばかり。発注キャンセルなどの顧客離れも、ごく一部を織り込んだのみだ。

 こうした影響は特別損失となって最終損益に反映されるが、金額は全く想定できない。損害賠償や罰金が発生する可能性もある。会見で梅原副社長は「信頼回復に向けた努力で減少幅を極力、最小化したい」と話すのが精いっぱいだった。

 こうした中、同社は社債発行が難しくなる場合に備え、みずほ銀行などの主要行に500億円の融資を要請した。当面の資金繰りに問題はないとみているが、BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは「資産や事業の切り売りに追い込まれる可能性も十分ある」と話す。

 神戸製鋼と株式を持ち合う新日鉄住金の進藤孝生社長は30日の記者会見で「支援要請があれば検討し、対応する」と述べた。神戸製鋼の梅原副社長は「要請は考えていない」とするが、赤字が長引くようなら業界再編すら現実味を帯びる。

(井田通人)