顧客離れの懸念も、疑惑広がり取引先は困惑

神戸製鋼データ改竄

 データの改竄(かいざん)が行われていた製品について、顧客の協力を得て行った検証では安全上重大な問題は見つからなかったと発表した神戸製鋼所。しかし、不正発覚の時点で同社の信用は失墜、不十分な説明対応もあいまって、顧客メーカーは疑念を深めている。神戸製鋼は今後、顧客離れのリスクと向き合うことになる。

 神戸製鋼が不正を公表した10月8日以降、顧客は性能データを改竄した問題製品の使用状況や安全性の確認に追われた。その負担は大きく、土日返上で作業にあたってきた。

 「調達から営業まで担当者は対応に追われ、コストも発生している。怒る余裕すらない」。鉄道車両メーカーの関係者は神戸製鋼への不満をぶちまける。 

 日本の製造業全体へのダメージを懸念する声も少なくない。ホンダの八郷隆弘社長は「製造業として非常に問題で遺憾」と、無資格検査問題で揺れる日産自動車と併せて批判する。

 神戸製鋼の川崎博也会長兼社長は26日の記者会見で「定期点検時の取り換えなどを一部取引先から要求されている」と明かしたが、まだ顧客離れといえるほどの状況は起きていない。

 不正が4工場で行われていたアルミをはじめ、神戸製鋼の技術力は高く評価されてきた。顧客が代替品を確保しようにも、「他社に作れないものも多い」(神戸製鋼幹部)。

 旺盛な需要が続く中で、アルミ各社の工場はフル稼働を続けており、自社の受注分をこなすので精いっぱい。生産を肩代わりする余裕はなく、神戸製鋼がただちに契約を取り消されたりする可能性は低い。

 もっとも、今後は発注先から外す動きが広がる可能性がある。あるメーカーの担当者は今後の対応は「未定」としつつも、「同じ水準の製品を他社が作れるのなら神戸製鋼を選ぶ理由は何もない」と言い切る。

 特に海外メーカーは不正に厳しいとされ、大きなダメージを被る可能性も否定できない。川崎会長兼社長も記者会見で「(部品交換費用などを要求される)可能性はあるだろう」と認めた。(井田通人)