根拠示さず安全宣言 消費者の不安はぬぐえず

神戸製鋼データ改竄

 製品の性能データ改竄(かいざん)問題で、神戸製鋼所が26日に公表したアルミ・銅製品などの検証結果では、安全性に切実な欠陥があるものは見つからなかった。しかし、この日の検証結果は最終的な商品名やメーカー名が一切示されない「一方的な報告」。新たに機械事業部門などで4件の不正も発覚しており、消費者の不信感はぬぐえそうにない。(平尾孝)

 「早いタイミングで、(完了)できるように全力で続ける」。川崎博也会長兼社長は、この日の記者会見で、安全性の検証の取り組みを急ピッチで続ける考えを強調した。

 今回の安全性検証では、神戸製鋼が問題製品の販売先を通じて改竄前の元データを通知。各社が実際の設計データなどと照らし合わせて、部品や最終製品の性能を確認してきた。

 結果の公表も販売先の企業ごとに、「顧客が安全性を確認済み」「顧客が当面の問題はないと判断」「神戸製鋼が安全確度が高いと判断」と3つに分類するだけだ。問題製品の強度などの性能が、本来の仕様からどの程度外れていたかや、問題素材を使った製品や部品の強度などの性能が本来あるべき性能からどれだけ劣っているのかといった具体的、客観的なデータは示していない。

 消費者からすれば、いくら神戸製鋼が安全だとしても、その根拠が明確に示されない以上、不安は残る。まして、データ改竄という不正を働いた企業の言い分を消費者は素直に聞くことはできないはずだ。

 特に、強度が不足したアルミがさまざまな形態で自動車に利用されているとなれば、マイカーに神戸製鋼の製品が使われているかどうかが、消費者の最も知りたいところだ。しかし、最終商品などを公表しない報告では、その不安の解消には至らない。

 実際、自動車や鉄道車両向け製品の安全性確認は遅れている。現在、販売先525社のうち437社が安全性を確認したとし、8割を超えている。ただ、自動車や鉄道車両向けが中心の「アルミ押出品」については、販売先34社のうち14社と4割程度でしか安全性の確認がとれていない。

 自動車を含む分野の製品の安全性検証を急ぐと同時に、消費者が求める「どの最終製品に使用されているのか」といった情報公開も行われなければ、本当の意味で信頼回復にはつながらないだろう。