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【主張】入管法案見送り 長期収容の見直し進めよ

 外国人の収容や送還のルールを見直す入管難民法改正案について、政府・与党が今国会での成立を断念した。次期国会での成立を目指す。

 名古屋市の入管施設で収容中だったスリランカ人女性が今年3月に死亡したことをめぐり、野党が反発を強めていた。

 一時的に収容を解く現行制度の仮放免が認められないまま亡くなった女性の死は、痛ましいとしか言いようがない。真相の徹底究明を急ぐのは当然だ。

 一方で、母国への送還を拒否するなどした不法滞在外国人の長期収容問題が、解消されないまま先送りされた。現状の放置は許されない。その意味で、女性の死を改正案の採決に絡めた野党の姿勢には疑問符が付く。

 改正案は、長期化が問題となっている入管施設での収容の適正化を図るのが狙いだ。これまで無制限だった難民認定の申請回数を原則2回に制限する。申請中は本国へ送還されないで済むという現行制度の悪用を防ぐためだ。退去命令が出てから4回も難民申請したケースもある。

 改正案はまた、難民の基準は満たさなくても、本国の事情から保護すべきだと判断した人を「補完的保護対象者」として在留を認める。施設から一時的に解放する仕組みとして、「監理措置」を新設し、指定した「監理人」に報告義務を負わせるなどした。

 現在、不法滞在外国人は約8万人いる。年間約1万人は処分に応じ出国するが、昨年末時点で3000人あまりが出国を拒否するなどした。うち懲役3年以上の実刑判決を受けた人は310人で、半数が難民認定を申請中という。

 出入国管理を厳正にするのは国家として当然だ。ただ、国際社会の日本を見る目は厳しい。

 欧米諸国に比べて難民認定率が極端に低いのも一因だ。認定NPO法人難民支援協会によると、一昨年の難民認定率は、日本が0・4%、ドイツ25・9%、米国29・6%だ。在留外国人をめぐる国内事情は各国とも違うため、単純に比較するのは妥当性を欠こう。

 それでも国連人権理事会は日本の現状に対し、恣意(しい)的な拘禁を禁止した国際人権規約に違反するとして政府に改善を求めている。

 人権に配慮しながら、長期収容問題の解消を図る。この実現に向け、与野党には法運用のあり方も含めた審議が求められる。

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