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【主張】リコール署名偽造 正当な抗議歪める犯罪だ

 二重の意味で罪深い。民意を偽造し、リコール(解職要求)という民主主義の最終手段を揺るがし、正当な抗議内容を歪(ゆが)める愚かな犯罪であるといえる。

 愛知県の大村秀章知事のリコール運動をめぐって愛知県警は、地方自治法違反(署名偽造)の疑いで、リコール運動事務局長の元県議、田中孝博容疑者ら4人を逮捕した。

 リコール運動は、大村知事が実行委員会会長を務めた芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の展示内容を問題視したもので、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が主導し、名古屋市の河村たかし市長らが支援していた。

 逮捕容疑は、複数のアルバイトに有権者の氏名を署名簿に記載させ、署名を偽造させたとされるものだ。運動事務局が選挙管理委員会に提出した約43万5千人分の署名のうち8割超が無効とされた。高須院長は、自らの女性秘書が他人の氏名が書かれた署名簿に指印を押したと報告を受けていたと明かしている。

 田中容疑者は逮捕前、「高須院長に恥をかかせられなかった」と述べており、「署名は順調」とする高須院長への忖度(そんたく)が動機となった可能性がある。

 問題となった企画展は、昭和天皇の写真を何度も燃やし、その灰を踏みにじる動画や、韓国が日本非難に用いる「慰安婦像」として知られる少女像などを展示したものだ。日本と日本人をおとしめる内容だったことは明らかで、多くの人が憤り、抗議運動が起きたのは当然といえた。

 だからといって、いや、だからこそ、運動に不正が絡むことは許されない。企画展開催中に実行委員会に相次いだ脅迫的な批判も同様である。

 抗議は、正当な手続きや真っ当な言論によってなされなければならない。これを逸脱すれば、正しい抗議内容も歪められて伝わることになる。

 犯行の全容は判明していない。県警は捜査を徹底し、動機や指示系統について、深く切り込んでほしい。一方で、リコール運動の不正は、問題の展示内容を何ら正当化しない。昭和天皇の肖像をバーナーで焼く映像が「公共の福祉」に反し、「表現の自由」に含まれないことは明らかだ。

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