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【主張】ワクチン接種 広範な迅速化に全集中を

 この狂騒は何なのだろう。お年寄りが何度かけても電話は通じず、ようやくつながるとすでに予約枠は埋まっている。

 インターネット予約に手間取り、直接出向いた先の医療機関には長蛇の列ができている。そんな嘆きばかりを聞く。日本はこれほど危機に弱い国であったのか。

 新型コロナウイルスの高齢者向け接種が各地で本格化した。ワクチン接種のための予約を求める電話が殺到し、NTT東日本など通信各社は自治体などに向けた電話発信の制限を行った。

 多くの人がワクチン接種の予約に殺到するのは、期待の大きさに由来する。すでに成人の6割近くが1回以上の接種を済ませた米国では政府の担当調整官が「われわれは峠を越えつつある」と述べている。緊急事態宣言下の重苦しい生活をいつまで続けるのか。出口はワクチン接種の進捗(しんちょく)に求めるしかないのが現実である。

 だが国内では、遅々として接種が進んでいない。政府は7月末までに希望する高齢者への接種完了を目指し、菅義偉首相は「1日100万回」の接種目標を示しているが、打ち手の医師、看護師の手当てはめどがたっていない。

 政府は歯科医師による接種や看護師派遣の特例を容認し、接種対価の増額などの支援策を打ち出しているが、充足にはほど遠い。

 神戸市はすでに大規模接種への歯科医師の参加を発表しており、国に先行している格好だ。取り組みを全国に広げるべく、政府の指導力も問われる。

 日本のワクチン接種が国際的に後れをとっている要因の一つに、安全性や有効性を確認する厳格な治験(臨床試験)による承認の遅さがあげられる。

 すでに接種が進められているファイザー製のワクチンに続き、モデルナ、アストラゼネカ製のワクチンについて、今月20日にも承認される見通しだ。これがせめて2カ月早かったら、と思う。

 菅首相は10日の国会で「危機管理時の対応として、より速やかに(ワクチンを)承認できる制度の見直しが必要だ」と述べた。

 当然の指摘であり、とうに見直されているべきだった。

 「泥縄」との批判を、今はいうまい。政府は接種の拡大に向けてあらゆる手段を尽くしてほしい。歯科医を含む医療界にも最大限の協力をお願いしたい。

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