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【主張】G7外相会合 対中結束の意味は大きい

 ロンドンで開催された先進7カ国(G7)外相会合は、覇権追求を強める中国に対し、人権侵害や海洋進出、貿易慣行など幅広い分野で、強い懸念と牽制(けんせい)を表明した。

 自由や民主主義の価値観を共有する国家のグループとして足並みをそろえ、専制主義国家に断固対抗する姿勢を鮮明にしたことに大きな意味がある。

 特に、共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記したことは重要である。

 4月の菅義偉首相とバイデン米大統領による共同声明と歩調を合わせたものといえる。日米首脳の共同文書での台湾への言及は約半世紀ぶりで、G7の首脳、外相声明でも極めてまれなことだ。

 台湾問題は中国抑止の焦点の一つである。日本は台湾有事の影響を免れない。警告を発するだけでなく、あらゆる事態を想定した備えが必要である。

 外相声明は、中国が反対する台湾の世界保健機関(WHO)の会合参加にも支持を表明した。ウイグル人やチベット人の弾圧、香港の民主派排除、不公正な貿易慣行やサイバー攻撃に言及し、東、南シナ海での「緊張を高める一方的行動への反対」を表明した。

 6月のG7首脳会議(サミット)に先駆けたもので、今後、貿易、保健などのG7閣僚会合が開催される。新型コロナウイルスへの対応など、それぞれの分野で中国問題を指摘し、国際ルールに従い対応するよう、サミットの場で突き付けてほしい。

 トランプ米前政権下では貿易問題などで米欧の足並みが乱れ、中国やロシアにつけ入るすきを与えた側面は否定できない。中露に対抗するには、G7の結束が大前提だと確認しておきたい。

 ウイグル問題では、G7で日本のみが制裁行動を取っていない。このままやり過ごすことは許されず、旗幟(きし)を鮮明にすべきだ。

 ジョンソン英首相は、G7に韓国、オーストラリア、インドを加えた「D10」を提唱している。民主主義国家のグループとしては日米豪印の「クアッド」もあり、バイデン大統領は民主主義サミットの開催を目指している。

 G7には1970年代からの歴史があり、国際的な懸案に対して緊急声明で対応するなどの機能もある。対中結束の重層的な枠組みの中軸と位置づけるべきだ。

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