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【一筆多論】尖閣「棚上げ」合意のウソ 岡部伸

 実際に78年、トウ氏と会談した園田直外相が「尖閣問題の日本の立場は閣下のご承知の通り」と述べると、トウ氏は、ここでも「次の世代、あるいはその次の世代に委ねればよい」と答えたが、園田氏は特に反応せず、再び取り上げることもなかった。会談に中国課長として同席した田島高志元駐カナダ大使は、外交専門誌「外交」第18号に、「中国側は話し合いを控えたいとし、日本側はそれを聞きおくに留めた、というのが事実である」と回顧し、「『棚上げ』に合意するような筋合いの問題ではなかった」と証言している。

 会談記録では、72年当時も、田中角栄首相が「尖閣諸島をどう思うか」と述べると、周恩来首相が「今は話したくない」と答え、話し合われていない。

 だが、78年のトウ氏会見後、日本が抗議も否定も反論もしなかったことにつけ込み、中国は「棚上げ」どころか、いきなり実力行使の現状変更を試みている。

 「日本政府の本格的反論は2012年から。それまでは平地に波を立てずという方針だった」(兼原氏)ことが中国の行動をエスカレートさせたといえまいか。

 会議では柳井俊二元駐米大使も、「『棚上げ』があれば、中国が仕掛ける強引な現状変更と大きく矛盾する」と「棚上げ」合意の存在を重ねて否定した。

 日本は今こそ、「『棚上げ』合意はなかった」という歴史的真実を国際社会に向けて発信しなければならないと思う。(論説委員)

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