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【論壇時評】5月号 尖閣防衛日本自ら「中国の脅威」に立ち向かえ 論説委員・岡部伸

上空から見た沖縄県石垣市の尖閣諸島(海上自衛隊機から鈴木健児撮影)
上空から見た沖縄県石垣市の尖閣諸島(海上自衛隊機から鈴木健児撮影)

 菅義偉首相は、バイデン米大統領との首脳会談で、台湾海峡の平和と安定を確認し、日本は防衛力を強化する決意を伝えた。軍拡を進める中国が台湾侵攻の野望を隠さず、南、東シナ海で国際法を無視した強引な海洋進出を重ねているからだ。中国は武器使用権限を認めた海警法を施行し、沖縄県・尖閣諸島で、「海警局」の船による領海侵入が常態化している。尖閣を守るには、日本は、何をすべきだろうか。

 会談で、米国は、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを再確認。さらに日米は、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することで一致。バイデン氏は「日本の安全を鉄壁で守る」と述べた。

 しかし、慶応大学教授の田所昌幸は、『Voice』5月号で、「中国に対する安全保障に真剣に取り組まねばならないのは、日本自身の課題であり、アメリカに忠義だてするための手段ではない」と日本自ら中国に立ち向かうべきだと訴える。

 日本にとって中国は重要な経済的パートナーだが、安全保障上の脅威でもある。「中国とのビジネスはうまくやりつつ、安全保障はアメリカとの同盟を利用して、いわば『いいとこ取り』をしようとする誘惑があろう(中略)。だが、端的にいってこれは間違いだし、不可能だ」と指摘し、「米中対立に第三者的態度をとって、どっちもどっちだなどという姿勢でいると、日本は確実にアメリカの信頼を失う」と警告し、「日本が米中対立の傍観者たることは不可能である」と言い切る。

 そして、「日本の姿勢によって東アジア全体、ひいては世界全体の自由民主主義の運命が大きく左右されることを忘れてはならない」と述べ、「尖閣諸島のような人が住んでいない島であっても、それを守れるかどうかは、軍事力によって一方的に領土的現状の変更をしないという、過去半世紀以上にわたって、世界が育んできた重要な規範を守れるのかどうかという問題でもある」と尖閣防衛の重要性を訴える。

 尖閣は、「日本にとっては日本の領土の防衛だが、米中にとっては台湾問題とも関係して理解されている」と指摘。「日本が経済的利害のために曖昧な姿勢をとって中国に取り込まれれば、台湾は第二の香港と化し、アメリカが米韓同盟を通じて韓国を防衛することも事実上不可能になる」と予測し、「東アジアの自由民主主義は総崩れ状態になり、そうなれば東南アジアも一層中国になびき、西太平洋から南シナ海に至るまでの地域で、中国の覇権が完成することになる」と警告する。したがって尖閣問題は、「日本の領土防衛にとどまるものではなく、東アジア、ひいては世界の自由民主主義の運命に関係している」と強調する。

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