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【風を読む】「敵」を間違ってはいけない 論説副委員長・沢辺隆雄

 「敵」を見誤っていないか、首をかしげることがある。教育問題でもそれが目立つ。

 例えば、教員による児童生徒へのわいせつ行為を防ぐため、文部科学省はSNS(会員制交流サイト)で教え子との私的なやり取りを禁止する通知を出した。密室での1対1の指導を避けることを求め、教室の窓に掲示物を張らないようにするなど工夫をあげた。

 未然防止なのだろうが、どこか変だ。連日のようにわいせつ行為などで処分される教員の問題が報じられているが、大多数の教員は真面目に子供たちのために指導を工夫している。その手足を縛らないか心配だ。

 1対1で生徒指導を行うケースは珍しくないはずだ。学校や部活動の連絡などでSNSは活用されてきた。いじめ、自殺などの相談をしやすいよう生徒が身近に使うSNSを利用し効果をあげる例もある。

 私的なSNSはダメと通知しても、わいせつ行為をする不心得者は隠れてやるだけだろう。通知を出しておけば、文科省や教育委員会の責任は免れるのか。事なかれ主義では、心ある教員のやる気を削(そ)ぐ。

 わいせつ行為などで懲戒免職となり、教員免許が失効しても3年後に再取得できる。教壇に立たせないための法改正をめぐり、憲法の「職業選択の自由」に反するとの慎重論に、文科省などは腰砕けとなった経緯もある。立場を利用した卑劣な行為に目をつぶって加害者の「自由」に配慮するというのは理解しがたい。守るべきものを間違えてはならない。

 先日検定結果が公表された高校教科書をめぐっても、おかしな批判があった。北方領土や竹島、尖閣諸島について学習指導要領に基づき、わが国の「固有の領土」と教科書に明確に記述することに、「政府見解を書かせる」などと、批判的に取り上げる人たちが相変わらずいる。

 検定では、例えば北方領土はロシアが「実効支配」を続けている-という記述に「生徒が誤解するおそれがある」と意見がつき、「不法占拠」を続けている-と修正された。

 「実効支配」では、問題なく支配していると誤解する、との文科省の説明はもっともだ。だが相手(ロシア)の主張はなぜ書かせないと批判する人たちがいる。国際社会の現実を教えず、領土を奪われても、みんな仲良く、黙っているのが、「多様性」ではあるまいに。

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