PR

ニュース コラム

【一筆多論】不当な拘束やめ釈放せよ 佐々木類

 北海道教育大の袁克勤(えん・こくきん)前教授が中国当局に拘束されてから2年が経つ。裁判はいまだに始まらず、家族も弁護士も袁氏の安否を確認できないでいる。異常というよりほかない。

 袁氏が中国籍だから日本には関係ない、というのではあまりに能天気だし、冷たかろう。1年半前、北海道大の日本人教授が拘束されて2か月後に釈放された一件は記憶に新しい。日本に関わる学者は国籍が日本であれ、中国であれ、中国当局に不当に拘束されているのが現実である。

 中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官は、袁氏を拘束してから10カ月あまり経った昨年3月26日の記者会見で、袁氏をスパイ容疑で拘束したことをようやく認めた。

 この際、耿爽氏は「(袁氏は)犯罪事実に対して包み隠さず自供している。証拠も確かだ。刑事手続き上の権利は十分に保障されている」などと語った。

 証拠が確かなら、なぜ裁判を始めないのか。耿爽氏の発言を額面通りに受け止めるわけにはいかない。不当な拘束をやめ、直ちに釈放すべきである。家族や弁護士を袁氏と面会させるのはもちろん、置かれた環境や健康状態などの情報を今すぐ開示すべきだ。

 袁氏は中国・吉林省の出身で、1989年の天安門事件の2年前に一橋大で法学修士を取得し、東アジア国際政治史を中心に道教大で20年以上、教鞭(きょうべん)をとってきた。中国籍だが、日本での永住権を持つ。

 袁氏は2019年5月29日、吉林省に一時帰国した際、拘束された。袁氏は安否が分からないまま、21年3月末、定年退職した。

 気を付けたいのは、習近平氏が国家主席に就任した後、日中両国の学者を身柄拘束する動きが強まっていることだ。特に、14年11月1日、中国で密告を奨励する「反スパイ法」が施行されてからが顕著である。最高刑は死刑だ。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ