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【主張】日米首脳会談 「台湾」明記の意義は重い 同盟の抑止力高める行動を

 菅義偉首相とバイデン米大統領がワシントンで会談を行った。大統領就任後、初の対面会談をしたこと自体が日米同盟の重要性と結束の強さを示している。

 両首脳は、中国による東・南シナ海での力による現状変更や威圧的な行動に反対することで一致した。対中国を念頭に「抑止の重要性」を確認し、同盟の一層の強化を約した。極めて妥当である。

 とりわけ評価できるのは、共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調した点だ。

 日米首脳が共同文書で台湾に言及したのは、日中国交正常化前の1969年、佐藤栄作首相とニクソン米大統領の会談以来だ。

 ≪もっと人権問題を語れ≫

 1970年代に入り日米など自由主義諸国は共産党支配の中国を反ソ連陣営に加えた。東西冷戦後の中国は特に自由貿易や科学技術を導入する恩恵を享受し、世界第2位の経済大国に成長したが、今や国際法無視の勢力拡張に走っている。中国の危うい行動を、再び抑えるべき時代になった。今回の首脳会談は、そのような国際情勢の構造変化に日米同盟が対処することを誓ったことになる。

 対中抑止の焦点の一つが台湾である。

 バイデン大統領は米国の日本防衛を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣諸島(沖縄県)適用を表明した。歓迎できるが、日本が自国の領土防衛だけに意を払っていては平和と繁栄を保てない。沖縄の隣で自由と民主主義を掲げる台湾に対して中国が軍事力を行使する事態は絶対に阻みたい。地理的に台湾有事は直ちに日本有事に移行する恐れが大きい。

 日米は3月の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)でも「台湾海峡の平和と安定」などをうたった。中国は「日本が喜んで米国の戦略的属国になった」と非難していた。

 中国の圧力にもかかわらず、菅首相は首脳会談で台湾問題を取り上げた。また、米有力シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)でのオンライン講演で「私は主権に関する事項、民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値について譲歩する考えはない」と語った。いずれも、日本や日米同盟の抑止力を高める正しい行動であり、発言である。

 共同声明は新疆ウイグル自治区や香港の人権状況への深刻な懸念の共有を盛り込んだが、両首脳は共同記者会見でも自らの言葉で中国を強く牽制(けんせい)すべきだった。

 日本が共同声明で「同盟および地域の安全保障の一層の強化」のために防衛力を強化するとしたのは役割分担の表明だが、具体策を示してもらいたかった。台湾有事への対処や、米国が中国に対して優位を失っているミサイルの配備問題も視野に、日本は防衛力を充実させたい。敵基地攻撃能力の導入決定も急務である。

 ≪経済安保に本腰入れよ≫

 北朝鮮の日本人拉致問題や核・ミサイル問題での連携を確認したのは妥当だ。バイデン大統領はトランプ前大統領のように拉致問題に関与し続けてほしい。

 共同声明は「21世紀に相応(ふさわ)しい新たな形の協力が必要」として、競争力や新型コロナウイルス対策、気候変動などの分野重視を打ち出した。特に経済安全保障で結束する意義は大だ。中国は先端技術の国産化を急ぎ、経済軍事一体の覇権を目指している。

 共同声明では、半導体などのサプライチェーン(調達網)構築での連携を確認した。バイオテクノロジーや人工知能(AI)、量子科学などの研究開発で協力を深め、第5世代(5G)移動通信システムでは信頼に足る事業者が担う重要性をうたった。

 いずれも対中依存が大きなリスクをはらむ技術分野だ。着実に具体化させなくてはならない。

 コロナ禍以降、世界的に供給不足となった半導体や、中国が供給量の多くを握るレアアース(希土類)などの部材はAIや高速通信網、電気自動車などに欠かせぬ戦略物資だ。調達網の確立のため、半導体生産を得意とする台湾や、レアアースを産出するオーストラリアなど民主主義の価値観を共有できる国・地域と連携したい。

 調達網の連携はバイデン政権が望んだことだが、本来、日本が主体的に対応すべき問題だ。戦略物資の輸出規制の強化を含め、経済安保上の対中戦略を改めて見直す必要がある。

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