PR

ニュース コラム

【主張】熊本地震5年 「命を守る備え」再検証を

 熊本地震の発生から5年になる。

 平成28年4月14日夜と16日未明、最大震度7の激しい揺れが立て続けに熊本地方を襲った。地震活動の範囲は阿蘇地方や大分県にも及んだ。

 関連死を含めた犠牲者は270人を超える。

 亡くなった人たちの冥福を祈るとともに、地震への備えを再検証し、命を守り抜く力を高めたい。

 直下型地震は日本列島のどこでも起こり得る。熊本地震の教訓を2つ挙げたい。防災拠点の耐震化の徹底と、避難者の生活環境の抜本的改善である。

 震度7に2度襲われた益城町をはじめ、揺れが激しかった宇土市や八代市など熊本県の5市町の庁舎に倒壊の危険が生じ、災害対応拠点としての機能を失った。

 倒壊の恐れが出て患者の移送や避難を余儀なくされた病院もある。多くの学校、幼稚園の建物が応急危険度判定で「危険」の判定を受けた。

 自治体庁舎や病院、学校は災害から住民の命を守る拠点施設である。余震や誘発地震の危険が続くなかでも、その機能は維持しなければならない。

 平成30年の大阪北部地震では学校のプール沿いのブロック塀が倒れ、下敷きになった児童が死亡した。建物の耐震化を徹底するだけでなく関連施設も含めて「揺れへの備え」に見落としがないか、検証することが大事だ。

 熊本地震の犠牲者のうち建物倒壊や土砂崩れなどによる直接死は50人で、220人以上は避難生活中の過労やストレス、病院機能の低下などが原因で亡くなった震災関連死である。高齢者や乳幼児がいる家族が車中泊を選び、十分な支援が受けられなかった事例も報告されている。

 阪神大震災や東日本大震災の経験をもとに、国、自治体は被災者支援の拡充に取り組んだが、熊本地震で「守れなかった命」は、あまりにも多い。避難者の支援、生活環境の抜本的改善が必要だ。

 昨年来の新型コロナ禍で、多くの自治体は避難所の受け入れ態勢を見直した。感染症対策だけでなく、避難者の生活環境を大幅に向上させる契機としたい。

 避難所の拡充、医療体制と人員の確保、車中泊の把握と支援体制の構築、被災者の心のケアなど課題は多岐にわたる。関連死ゼロは目標ではなく、義務である。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ