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【記者発】データ活用「気味の悪さ」払拭を 経済本部・蕎麦谷里志

個人情報が閲覧可能になっていた問題で会見するLINEの出沢剛社長(中央)=3月23日午後、東京都港区(川口良介撮影)
個人情報が閲覧可能になっていた問題で会見するLINEの出沢剛社長(中央)=3月23日午後、東京都港区(川口良介撮影)

 いたずら小僧だった少年時代。隠し事や嘘を親に見破られ、叱られることも多かった。あまりに的確な親の指摘に、自分の心の声が聞こえているのかと気味悪く思ったこともあった。

 30年たって自分の“分身”のような子供を持ち、自らの浅知恵と、下手な嘘が見透かされていたことを実感するのだが、最近は別の意味で、似たような気味の悪さを感じることがある。

 インターネット広告だ。ターゲティング広告といわれ、過去の検索履歴やネット通販の購入履歴を参考に広告が表示される。よくできた仕組みと感心する一方、どこまで自分が探られているのだろうと疑心暗鬼にもなる。

 インターネットの世界は、裏側で情報がどう管理されているのか分からないことが多い。それでも、大手だからきっと大丈夫。ユーザーはそう自分に言い聞かせて使っているのが大半だろう。

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」の利用者情報が中国企業から閲覧できた問題は、そんなユーザーの信頼を裏切ることになった。

 特にLINEは国内約8600万人が使う人気の通信アプリだ。写真や動画も簡単に送ることができ、プライベートなやり取りも多い。「あのときのやり取りが流出したら…」。そんな不安に駆られた人も多いのではないか。国家が強制的に情報収集できる中国の企業が情報にアクセスしていたのだからなおさらだ。

 せめてもの救いは、今のところ「情報流出は確認されていない」(LINE担当者)ことに加え、今回の件が、ソフトバンク傘下のZホールディングス(HD)との統合で、業務を総点検する中で判明した点だ。デジタル社会の到来を前に、各社も同様のリスクがないか点検する好機ととらえるべきだろう。

 取り扱いに細心の注意が必要な個人データだが、データの積極的な活用は今後の日本の成長には欠かせない。日本発の世界的なIT企業を目指す新生ZHDには、対策を講じた上で、データ活用は続けてもらいたい。

 重要なのは個人データをどこで、どんな目的で、どう使うのか、ユーザーに分かりやすく伝える工夫だ。“気味の悪さ”を残したままでは、国民の信頼は取り戻せない。

【プロフィル】蕎麦谷里志

 平成13年入社。大津支局、さいたま総局、東京本社社会部などを経て、29年5月から経済本部。現在は総務省やデジタル分野を担当。

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