PR

ニュース コラム

【日曜に書く】論説委員・藤本欣也 香港人は本当に敗れたのか

2020年8月11日、保釈後に香港の警察署前で会見する周庭氏(左)と付きそう黄之鋒氏(藤本欣也撮影)
2020年8月11日、保釈後に香港の警察署前で会見する周庭氏(左)と付きそう黄之鋒氏(藤本欣也撮影)

排除される民主派

 中国・全国人民代表大会(全人代)の取材には双眼鏡が欠かせない。

 記者席から遠く離れたひな壇の中央に座る習近平国家主席(67)に狙いを定め、ひたすら観察するのだ。

 クライマックスは式典の終了直後である。退場するまでの間に、どんな行動をとるか、誰かに話しかけるのか-。

 すでに北京勤務を終えた私に双眼鏡を握るチャンスはない。ただ、今年の閉会式後の報道写真を見ていて「おや」と思った1枚があった。

 習氏がひな壇で、ある人物と立ち話をする写真である。手もみをするように立つ男は国務院香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任(68)。中国政府で香港政策を統括する人物だ。習氏が浙江省のトップを務めていたときの腹心だった。同省内の2千を超すキリスト教会を破壊した「壊し屋」の異名をとる。

 「しっかり頼むぞ」「はい、お指図通りやっております」。そんな会話が聞こえてきそうな1枚だった。今年の全人代では香港の選挙制度の改悪が決まり、2019年の大規模デモを主導した民主派は徹底的に排除されることになった。

国安法を予期した男

 20年6月末、習氏が香港の混乱を収拾するため、夏氏を同弁公室主任に抜擢(ばってき)して断行したのが「香港国家安全維持法」(国安法)の香港導入である。

 言論や集会の自由を制限し、その後、民主派勢力を一網打尽にすることになる国安法の導入を予期していた人物がいた。

 民主派の理論的支柱として知られる戴耀廷(たい・ようてい)・香港大元准教授(56)だ。

 戴氏は立法会(議会)選を5カ月後に控えた20年4月、民主派が目指すべき今後の行程表を発表し、大きな話題となった。

 20年9月、立法会選で民主派が過半数を奪う→21年5月、立法会で予算案を否決し行政長官に立法会を解散させる→同年10月、立法会選で再び民主派が過半数を獲得する→同年11月、立法会で予算案を再否決する。

 予算案が2度否決されると、行政長官は辞職しなければならない。戴氏が想定していたXデーはこの後だった。

続きを読む

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ