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【記者発】治安の最前線どう守るか 大阪社会部・山本祐太郎

 交番の歴史は古く、間もなく制度創設から150年となる。治安の最前線を守りながら地域住民の身近な存在でもある交番は、安全な日本を象徴する施設で、海外でも「KOBAN」として採用されている。

 そんな交番が一つの岐路に立っている。大阪府東大阪市で3月20日、「財布を拾った」と交番を訪れた男子高校生(18)が男性警部補(35)に刃物を突き付ける事件が起きた。

 高校生は強盗殺人未遂容疑で逮捕され、「警察官を殺してでも拳銃を奪おうとした」と供述したという。

 ここ数年、交番勤務の警察官が襲われる事件が相次ぎ、奪った拳銃で民間人を射殺する事件も起きている。拳銃を携行した交番勤務の警察官は犯罪を抑止し治安を守るために欠かせない存在だ。一方で、拳銃を狙った犯罪者の標的になり得るのもまた事実。拳銃が奪われれば市民が危険にさらされることになり、交番勤務の警察官の安全を確保することは治安全体にとって重要な課題である。

 事件を受け、全国の警察ではハード・ソフト両面での安全対策が進むが、警察官の安全確保には複数人での勤務が不可欠だ。交番勤務に充てられる人員には限りがあるうえ、人口減少が進み、予算の面も踏まえれば今後、警察官の増員は現実的とはいえない。

 となれば、交番の再編整備も選択肢の一つだろう。すでに一部の県では始まっているが、再編で交番がなくなることで不安に感じる市民がいるのも確かだ。ただ、数の維持にこだわるがあまり不十分な態勢で運用すれば、市民を守るはずの警察官の安全が確保できず本末転倒となりかねない。

 全国の刑法犯の認知件数は年々減少し、戦後最少を更新し続けている。

 街中への防犯カメラの整備が急速に進み、携帯電話の普及で緊急時の即時通報も可能になるなど環境は大きく変わっている。

 一方、犯罪の多様化は著しく、市民の体感治安が犯罪の減少と同じスピードで向上しているとは言い難い状況だ。歴史ある交番の在り方も含め、改めて治安の形を考えるときに来ているのではないだろうか。

                  ◇

【プロフィル】山本祐太郎

 平成16年入社。大津支局、神戸総局を経て、大阪社会部で事件・事故や行政取材などを担当。現在は大阪府警担当キャップ。

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