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【直球&曲球】中江有里 コロナ禍の意識、変化を進化に

 東京は桜の季節。本来なら家族や友人とともに花を愛(め)で、卒業式や謝恩会、旅行とにぎわう時期だが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、通常通りにはいかない。

 昨年の3月、ウイルスの感染拡大のため、予定していた仕事が次々に中止、あるいは延期となった。年間通じてその状況は続き、苦しい1年となった。

 再び桜の季節が巡ってきて、状況の変化を振り返る。何もできず、八方塞がりに思えたあの時から、不足していたマスクや消毒液が出回り、行く先々で感染防止対策がとられるようになった。リモートの仕事も増え、離れて暮らす家族や友人とのやりとりもオンラインが主になった。

 実際に会わなくても仕事も人との交流もできる。その方がさまざまなリスクを減らせることに気づいた。

 ある雑誌に掲載されていた某作家のインタビュー記事に「サイン会をすると風邪をひく」とあった。不特定多数の人と至近距離で話すことでウイルスをもらってしまう、とコロナ以前から思っていたそうだ。言われてみれば私も覚えがある。

 現在、対策なしのサイン会はできない。同じイベントを行うなら、全員検温、消毒、アクリル板を立ててマスクをつけて感染防止をするだろう。以前と同じやり方はできないけれど、きちんと対応していけば可能、という段階に入ってきた。

 もちろん先のことはわからないし油断はできない。でも知らなかったリスクがわかり、それを回避するようになったのは変化だ。

 できないことを憂えて心を塞ぎストレスをためると、憂さを晴らそうと騒ぎたくなるのもわかる。

 一方、見方を変えればこれまでリスクにさらされていた自分を守る方法がわかった。あるいは大事な相手を守ることができるようになった、とも言える。

 私は花粉症と風邪予防で年の半分はマスクをしているので、真夏のマスクもその延長だと思うようにしている。

 大切なのは一人一人の意識の変化だ。その変化を進化と呼べるようになりたい。

【プロフィル】中江有里

 なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー。多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。文化審議会委員。

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