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【風を読む】東日本大震災と米宇宙軍 論説副委員長・佐々木類

【東日本大震災「トモダチ作戦」】被災地から、米海軍強襲揚陸艦「エセックス」の艦内ドックに戻ったLCU(汎用上陸艇)=2011年3月27日午後、三陸沖(古厩正樹撮影)
【東日本大震災「トモダチ作戦」】被災地から、米海軍強襲揚陸艦「エセックス」の艦内ドックに戻ったLCU(汎用上陸艇)=2011年3月27日午後、三陸沖(古厩正樹撮影)

 東日本大震災で米軍は、前例のない規模の支援活動を展開した。オバマ大統領による「日本を全面支援する」との鶴の一声で始まった。

 「トモダチ作戦」だ。米軍の初動は素早かった。嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)所属の空軍第320特殊作戦飛行中隊は、自衛隊とともに宮城県の仙台空港の早期復旧に尽力した。被災者が、砂浜に木を並べて「ARIGATO」の文字で米軍に感謝の気持ちを伝えたニュースは記憶に新しい。

 気仙沼市沖合の大島に上陸したキャンプ・ハンセン(沖縄県名護市など)所属の第31海兵遠征部隊は電気復旧工事を行った。原子力空母「ロナルド・レーガン」や強襲揚陸艦「エセックス」など艦艇20隻、航空機140機、1万8千人の将兵が参加した。

 銘記したいのは、米軍が日本へのミサイル攻撃を警戒していた事実だ。

 発災当時、軍事衛星で巨大津波を察知した米中西部コロラド州の北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、大災害の混乱に乗じた周辺国によるミサイル攻撃など不測の事態を警戒し、衛星監視要員を米本土から被災地に派遣していた。米軍関係者によると、被災地に着いた要員は、自衛隊と緊密に連絡を取り合い、米軍事衛星の情報をリアルタイムで共有したという。

 派遣されたのは、シュリーバー空軍基地に本拠を置く宇宙作戦部隊「チーム・8ボール」やピーターソン空軍基地の陸軍宇宙ミサイル防衛司令部などに所属する計数十人だ。大震災の混乱下で自衛隊の警戒網に穴が開き、どさくさに紛れた日本本土へのミサイル攻撃や日本列島をまたぐミサイル発射実験もあり得るとの懸念が派遣決定の背景にあった。NORAD幹部は事実関係の確認を求めると匿名を条件に要員の派遣を認めた。活動の詳細については軍事機密を理由に明言を避けた。

 別のNORAD幹部は「ミサイル防衛部隊の派遣自体が米軍がミサイル発射を強く警戒していたことを物語っている」と語った。発災直後から有事を想定した米軍の危機意識の表れだ。

 自分の家族も被災しながら行方不明者の捜索にあたった自衛隊員や在日米軍の支援には改めて頭が下がる。広く報道されることはなかったが、米本土から来た宇宙軍の支援も忘れない。

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