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【論壇時評】3月号 「脱炭素」原子力捨てるのは不合理 論説委員・岡部伸

洋上を曳航(えいこう)され、福島県沖に運ばれる風力発電装置 =平成28年7月、兵庫県・洲本港沖 (本社ヘリから)
洋上を曳航(えいこう)され、福島県沖に運ばれる風力発電装置 =平成28年7月、兵庫県・洲本港沖 (本社ヘリから)

 コロナ後の復興を見据えて各国では首脳が脱炭素化を唱えている。菅義偉首相も昨年10月、就任後初の所信表明演説で、2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」を宣言し、太陽光や風力などの再生可能エネルギー転換と電気自動車(EV)への移行を中心に脱炭素社会実現へ動き出した。技術力のある日本企業に新たなビジネスチャンスとの期待もかかるが、そもそも再エネ拡大だけで目標達成が可能だろうか。

 「再エネを主力電源化していく(中略)。三〇年に地域での再エネ倍増を目指すべきと考えています」。環境相の小泉進次郎は、『中央公論』3月号で述べ、「ポイントになるのは、再エネとEV(電気自動車)をはじめとした電動車、そして地方の取り組みだ」として、「日本の将来は再エネとEV抜きには考えられない」と主張する。

 そして再エネ導入に自治体200以上が動き出し、「二五年までに脱炭素のモデルケースを作り、それが次々と連鎖していく」と、「脱炭素ドミノ」を起こし、日本全体の再エネ比率を最大限高める考えを示した。

 政府に続き、昨年11月、衆参両院で「気候非常事態宣言」が決議され、国会も「脱炭素」に取り組む。超党派議連の共同代表幹事を務めた国民民主党衆院議員の古川元久は、『文芸春秋』3月号で、「『気候変動』ではなく『気候危機』との現状認識を与野党で共有した」「オール・ジャパンで脱炭素社会の実現に向けて努力を」と意気込み、自民党衆院議員の古川禎久は、「日本列島を一極集中型から分散自立型に改造することと、脱炭素社会を建設することとはバッチリ親和性がありますからね」と述べ、再エネ推進と地域振興が相乗効果をあげるよう改造する考えを表明した。

 「脱炭素」社会実現には新たな技術開発が必要で、それに伴う巨大なマーケット創出も見込まれる。昨年末、策定された「グリーン成長戦略」では、2兆円の基金を設け、次世代型電池開発などを国が支援する。

 東京大学教授の高村ゆかりは、『中央公論』3月号で、「依然として、日本の強みの一つは技術力」と述べ、「日本の脱炭素分野やクリーンエネルギー分野のパテント(特許)の数は世界有数」として、「日本企業が有する技術力、開発力は高い。これを生かし、グローバル市場に売っていく、それを支援する経済戦略が必要」と提言する。そして、「日本の企業の九割は中小企業です。中小企業が、脱炭素に向かう大きな流れを理解し、対応できることが重要」と強調した。

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