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【風を読む】自らの言葉で尖閣防衛を語れ 論説副委員長・榊原智

尖閣諸島を含む東シナ海上空。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄・尖閣諸島(鈴木健児撮影) 
尖閣諸島を含む東シナ海上空。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄・尖閣諸島(鈴木健児撮影) 

 菅義偉首相が新型コロナウイルスをめぐる緊急事態宣言の延長について語った2日の記者会見は、プロンプター(原稿映写機)を初めて用いるなど発信を意識したものとなった。

 一過性の試みとせず、発信力を高める努力を続けてほしい。

 菅首相にはほかにも発信に努めてほしいことがある。例えば尖閣諸島(沖縄県)の防衛についてである。

 5日の衆院予算委員会で、日本維新の会の足立康史氏は、尖閣防衛の対処方針を質(ただ)した。

 菅首相は、中国海警局の船舶が尖閣周辺の接続水域を航行したり、領海に侵入したりしていることを「極めて深刻に考えている」と語った。そのうえで「国民の生命・財産、わが国の領土・領海・領空を断固として守るという方針の下に、冷静に毅然(きぜん)と対応していきたい」と述べた。

 「断固として守る」と述べた点は評価できるが、さらに踏み込んで語ってほしかった。

 平成30年1月に、中国海軍の原子力潜水艦とフリゲート艦が尖閣周辺の接続水域を航行する事件があった。

 当時の安倍晋三首相は同月の参院予算委員会で、「領土、領海、領空を断固、守り抜く」との方針で対処したと説明し、「(尖閣について)今後も毅然かつ冷静に対応していく。この安倍政権の決意を見誤るべきではない」と語った。

 原潜やフリゲート艦を投入してきた中国に対し、安倍氏は国会の場を利用して尖閣防衛の「決意を見誤るな」と発信したことになる。

 尖閣は危機のステージが上がったばかりだ。足立氏が尖閣防衛について質したのは、中国の習近平政権が1日、「海警法」を施行したからだ。外国の組織、個人が中国の国家主権や管轄権を侵せば、海警局は武器使用できると認めた。中央軍事委員会の命令で、海警局が「防衛作戦」を遂行する軍事組織に様変わりすることも定めた。

 中国が押し込んできたのだから、菅首相は「断固、守る」といういつものフレーズに加え、自らの言葉で防衛の決意を発信すべきだ。自衛隊の最高指揮官である首相の言動は、それ自体が抑止力を形作る。自衛隊や海保の増強が必要なのはもちろんである。

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