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【一筆多論】異質さを世界に問え 長戸雅子

1月18日、ソウルの韓国大統領府で記者会見する文在寅大統領(共同)
1月18日、ソウルの韓国大統領府で記者会見する文在寅大統領(共同)

 どういう風の吹き回しだろうか。

 主権国家は別の主権国家に裁かれることはないとの原則に基づく国際法上の「主権免除」を逸脱し、日本政府に元慰安婦女性らへの賠償を命じた1月8日の韓国・ソウル中央地裁の判決に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が否定的ともいえる反応を示した。

 18日の年頭記者会見で文氏は「韓日間の懸案を外交的に解決しようと両国はさまざまな協議をしている。そんな中、慰安婦判決が出た。率直に言って、少し困惑している」と語った。

 いわゆる徴用工訴訟でも「日本企業の資産が売却される事態は望ましくない」と述べるなど、これまで「司法判断を尊重する」との一点張りから踏み込んだ発言だった。もっともその予兆はあった。

 慰安婦訴訟の判決当日に出された報道官談話では、「2015年12月の韓日政府間の慰安婦合意が両政府間の公式合意という点を想起する」と、文政権が反故(ほご)にしてきたはずの日韓合意への言及があったのだ。

 さらに1月13日に予定されていた同種の別件訴訟の判決期日が突然延期されたことも不可思議だ。文政権は「何か」を避けたかったとしか思えない。

 就任5年目にして初の対日接近ともいえる動きだが、文氏の真意はどこにあるのだろうか。両国の関係改善が最終目的なら歓迎したい。しかし、韓国で報道されているように今夏の東京五輪を南北融和、米朝融和の「格好の舞台」としたいための日本接近ではないか、との観測もある。

 現在、日本政府は慰安婦訴訟を国際司法裁判所(ICJ)に持ち込むことを検討中だ。韓国は応じないとみられているが、武藤正敏元駐韓大使は「日本はすぐにあきらめるのではなく、ICJこそ解決の場という姿勢を取り続け、国際社会に不当な判断をアピールすべきだ」と語る。

 ICJは12年、イタリア最高裁が第二次大戦中に強制労働させられたイタリア人への賠償をドイツ政府に命じた判断を「主権免除」を理由に否定した。こうした裁判例にかかわらず、韓国が慰安婦訴訟の判決に自信を持つなら堂々と応訴してきていいはずだ。

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