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【新聞に喝!】中国海警法の危険性、もっと報道を ブロガー・投資家・山本一郎

東シナ海上空から見た尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄・尖閣諸島(鈴木健児撮影)
東シナ海上空から見た尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄・尖閣諸島(鈴木健児撮影)

 中国が海警法をより膨張戦略的に策定する見通しであることを受けて、わが国の外交対応も慌ただしさを増しています。産経新聞でも「グレーゾーン対処の法整備を 中国海警法めぐり自民会合で意見相次ぐ」(「産経ニュース」26日)と報じた通り、いまや南沙諸島・南シナ海の実効支配に近い状況にある中国にとって、残る曖昧な海域はわが国の領土である尖閣諸島とその周辺の排他的経済水域(EEZ)ぐらいしか残されていないのが現状です。中国からすれば、日本が実効支配する尖閣諸島のために海警法を施行するようなものです。

 もともと、海洋政策に詳しく拡張主義的な政策を主導したい習近平国家主席は従来の曖昧な海域設定を良しとしておらず、人民解放軍傘下に海警を組織し直す動きとともに実質的武力行使が可能な組織に変更すること自体は予見されていました。これで中国の海洋政策を担う海警は武力行使が中国国内法として可能となり、実質的に第2海軍的な武装船団扱いとなって、中国の海上支配圧力はより強まります。もちろん、中国の政策は国際法に違反しています。対峙(たいじ)する海上保安庁はあくまで警察力の延長線上です。所管は国土交通省で、ホームランド・セキュリティーを担う組織として武力による解決が難しい以上、日中の領海が相互合意なくいつの間にか中国に押し込まれる危険性は否定できません。かといって海上自衛隊が出動すれば有事が発生することになり、本来日本のEEZでの騒動となれば、実は日本はEEZも実効支配できていないという既成事実を作られてしまいます。

 昨今では、経済的に厳しい北朝鮮が中国に漁業権を譲り渡し、日本海の大和堆などEEZで違法操業する問題が深刻化しています。もともとのべ5千隻以上の退去警告が出されるなど中国・北朝鮮の違法操業が野放しでしたが、今季のイカ漁不漁もあり中国漁船の侵入は後を絶ちません。しかしながら、これらは中国共産党・中国政府の事実上の黙認があるばかりか、第1列島線や日本海での曖昧なEEZに対する挑戦を行うことで日本を試し、さらには尖閣諸島への警戒感を分散させる意図があることは明確です。

 米トランプ政権末期の混乱もあり、日米の実務的な協調の乱れを突く形で中国がさらなる海洋拡大を図っている件については、日本もさらなる警戒感とともに、メディアはより明確なメッセージを発すべきであろうと思います。

                  ◇

【プロフィル】山本一郎

 やまもと・いちろう 昭和48年、東京都出身。慶応大卒。専門は投資システム構築や社会調査。情報法制研究所事務局次長・上席研究員。次世代基盤政策研究所理事。

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