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【朝晴れエッセー】年賀状・1月31日

 七草粥(ななくさがゆ)が終わった後、少し遅れた年賀状が届いた。差出人は昨年春にがんで亡くなった、学生時代の友人の夫。

 「喪中なのに?」

 よくよく見ると、さすがに謹賀新年ではなくて「2021年喪中の旅」とある。コメントは「初夢に亡妻が出てきて、あなたには年賀状を出しておいてと言うもので」と。これ、笑ってよいのか。泣いてよいのか。

 2年半ほど前、ひょっこり大阪にやってきた彼女。「がんの手術受けた。お腹の中ぐちゃぐちゃ」と告白。「東京近郊の丘の上に家を買ったばかり。隣に縄文遺跡があるんだ。遊びにきてね」。本当に昔からいつでも唐突。

 半年後の早春、その縄文遺跡で彼女と会った。痩せてはいたが足取りはしっかりとしていて、3月の雑木林を2人で歩き回った。話は尽きず。楽しいことばかり話題にしていたように思う。

 「次に来たら多摩丘陵を探検しよう」。その約束は約束だけに終わった。昨年の春のさなかに永眠。コロナ騒ぎの折、見送りはできなかった。

 年賀状は何年分かたまると、ほとんど整理してしまうのだが、彼女は毎年手書きで、独自のキャラクターのイラストも面白く、ほぼ全て保存してある。もうこんな年賀状くれる人いないなぁ、と思っていた矢先の出来事だった。

 2月にはあともう一度、旧暦のお正月がある。では彼女と夫さん宛に書くとしましょうか。ちょっと不思議な年賀状を。

石浜英子(58) 堺市南区

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