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【風を読む】コロナに克ち桜咲け 論説副委員長・沢辺隆雄

大学入学共通テストに臨む受験生ら。間隔を空けて座っていた=16日午前、東京都文京区の東京大学(萩原悠久人撮影)
大学入学共通テストに臨む受験生ら。間隔を空けて座っていた=16日午前、東京都文京区の東京大学(萩原悠久人撮影)

 「共通1次」前の旧世代が幅を利かせる論説委員室では、入試をあれこれいじるより、入学後の大学教育の中身をしっかりせよという意見が多い。

 とはいっても入試は受験生にとって大問題。新型コロナウイルス感染拡大の中で行われた新共通テストは、大きな混乱なく何よりだった。準備を含め関係者の苦労も多かっただろう。

 学習の遅れや出題傾向の違いなどで平均点ダウンも予想されたが、大手予備校「河合塾」の分析では「想定以上に点が取れた」と、2次試験に強気の出願をする傾向もあるという。

 コロナ禍の休校、不安の中で学びを止めなかった受験生に敬意を表し、さらに支える情報発信と施策を文部科学省と各大学にお願いしたい。

 新共通テストは、英語の民間試験利用や国語・数学の一部記述式導入は見送られたが、文章や資料から情報を読み取って答える出題が増え、問題冊子が厚くなった教科・科目が目立った。

 例えば、「数学I・A」では陸上競技の100メートル走を題材に、1歩あたりの進む距離(ストライド)、1秒あたりの歩数(ピッチ)などの数式を示し、タイムが最もよくなるストライドとピッチを考えさせる問題があった。

 「数学II・B」では高校生の読書時間の調査を題材に、確率分布・統計的な推測の問題が出た。予備校によると、数学を深く学んでいれば解答できるように問題が工夫されていたようだ。

 「日本史B」でも、博物館で学習する高校生の会話に沿って貨幣の歴史を考えさせる問題などがあった。

 暗記型の受験勉強の弊害は、歴史学習でも、年号などの暗記に偏り、歴史の流れの中で理解していない課題が指摘されてきた。過去に国立教育政策研究所が行った学力調査では、昭和7年の「五・一五事件」に関し、「五・一五事件が起こり政党政治が終わった」との正答は約3割にとどまり、「五・一五事件で政党政治が始まった」と逆の答えが2割あった。新共通テストを機会に教育はどこまで変わるか。

 コロナ禍では日本のオンライン教育の遅れ、大学・教員ごとの講義の質の差も浮き彫りになっている。コロナに克(か)った意欲ある学生が学びを止めない奨学金の工夫を含め、大学側の責任の重さも入試シーズンに指摘したい。

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