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【記者発】なぜ気を緩める…看護師の嘆き 大阪社会部・石川有紀

午後8時までの時短営業が要請されている飲食店が並ぶ繁華街=18日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)
午後8時までの時短営業が要請されている飲食店が並ぶ繁華街=18日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大第3波が押し寄せ、大阪府が年末年始の外出自粛を呼びかけた頃、大阪市内で昼時の繁華街を取材し、普段と変わらない人出に驚いた。

 中高年のグループに話を聞くと、外出自粛要請は知っていたが昼間なら、と忘年会をしたという。別れ際、70代の男性に「病院が埋まっているので、どうか感染にはお気をつけてください」と声をかけたが、「あんたもな!」と笑顔で返されてしまった。なぜ危機感が伝わらないのか…。

 「同僚でも友人でも、今、食事を共にする人は運命共同体だと思ってほしい」

 感染症専門医はマスクを外す会食の感染リスクをこう警告する。自分だけでなく相手や家族が感染し、必要な医療が受けられないこともある。

 その後、東京や大阪など11都府県に国の緊急事態宣言が再発令された。街の人出は年末より減ったものの、昨年春の宣言時ほどではない。自粛要請が繰り返され、これまで従ってきた人からも「自粛疲れ」を訴える声が上がる。

 しかし、コロナ禍のこの1年、医療従事者はずっと厳しい制約の下で働き続けてきたことに目を向けてほしい。

 「ワクチンも治療法もまだなのに、なぜ気を緩めるのか」

 大阪の大学病院で働く40代の看護師は、昨年2月から外食や地域外への旅行を禁止され、世間が「Go To」でにぎわうときも働いていた。一般病棟勤務でも患者との間の感染防止に気を配る。注意してもマスク着用を守らない患者も出てきた。第3波になると、他病院のコロナ対応に応援に行く同僚もいて、常に人手不足。「いつまで体力が続くか」と吐露する。

 大阪市には、重症者向け臨時施設「大阪コロナ重症センター」ができた。しかし稼働時は人材が足らず、他県や自衛隊の看護師の応援に支えられた。病床を増やしても、看護師が不足すれば、患者を受け入れることはできないのだ。

 「心身の疲労はピーク。使命感だけでは、すでに限界に近づいている」。日本看護協会の福井トシ子会長は、昨年末の会見で訴えた。

 特措法の罰則や病床を増やす取り組みも進む。しかし今、必要な医療を受けられるためにも一人一人の感染防止の行動が重要になっている。

【プロフィル】石川有紀

 平成15年入社。奈良支局、大阪経済部などを経て韓国に留学。令和2年2月から大阪社会部。在日外国人や日韓関係に興味を持ち取材している。

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