PR

ニュース コラム

【世界の論点】新型コロナ起源調査

14日、中国・武漢市の空港に到着し、集合するWHOの国際調査団(AP)
14日、中国・武漢市の空港に到着し、集合するWHOの国際調査団(AP)

 新型コロナウイルスの起源解明を目指し、世界保健機関(WHO)の国際調査団が、中国湖北省武漢市に到着した。中国は協力姿勢をアピールするが、WHO関係者の期待は低い。初確認から1年以上が経過していることに加え、武漢起源説を否定し、外部調査に消極的な対応をしてきたのが中国の実態だからだ。WHOは発展途上国へのワクチン供給で中国の協力を得ており、調査団の構成でも中国に忖度(そんたく)したとの見方が出ている。

■英国 「中国に配慮」苦心のWHO

 WHOの国際調査団の中国湖北省武漢市への到着は、新型コロナウイルスの発生源や人への感染経路の特定に向けた一歩となった。ただ、中国政府が感染拡大の責任追及に神経をとがらせる中、調査を満足に行えない恐れが懸念されている。

 「(調査は)重要な機会だと思うが、過大評価すべきではない」。シンガポール国立大のデール・フィッシャー教授(感染症)は11日付の英紙ガーディアン(電子版)の記事に、調査団の武漢入りを評価しつつも、起源解明に役立つ結果が出ることへの「期待値は非常に低い」と慎重なコメントを寄せた。

 フィッシャー氏は昨年2月に中国入りしたWHO調査団の一員。今回の調査団の評価すべき点について、新型コロナの発生源などを特定するためにどのようなデータを収集する必要があるかを昨年より理解していると指摘した。

 その一方で過度の期待を戒めるのは、調査団が武漢でどこまで調査を実施できるのか状況が不透明なためだ。調査団は最初に感染が広がったとみられる市中心部の華南海鮮卸売市場や病院などで調査を実施するとみられている。ただ、実態解明に必要な情報へのアクセスがどの程度許されるかについては見解が分かれていると同紙は伝えた。

 新型コロナの発生源とされることを警戒する中国に、調査団が配慮せざるを得ないという指摘もある。WHOは発展途上国へのワクチン供給で中国の協力を得ており、中国との関係悪化は避けたい事情があるためだ。同紙は、中国を過度に刺激しないよう、WHOは「これまでずっとバランスを取らなければいけなかった」と指摘した。

 一方、今回の調査団をめぐっては、メンバーの中に中国とのつながりが深いとされる人物がいることで物議を醸す一幕があった。

 英紙タイムズ(電子版)は3日、調査団のメンバーの中に約15年間、中国科学院武漢ウイルス研究所と連携して、コウモリやコロナウイルスの研究に携わってきた英国の動物学者、ピーター・ダザック博士がいると伝えた。

 ダザック氏は、新型コロナが同研究所から流出したとするトランプ米政権の主張を否定した人物だ。米国の科学者が、ダザック氏が同研究所とつながりがあることを理由に同氏を「(メンバーとして)失格にすべきだ」と訴えたが、ダザック氏は批判を退け、調査団に残ったという。

 英国のある感染症対策の専門家は「中国への調査に支障が出ることを恐れた結果、起きた出来事だろう」と語り、忖度が働いた可能性を示唆した。(ロンドン 板東和正)

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ