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【主張】米大統領とSNS 排除理由の丁寧な説明を

トランプ米大統領がスナップチャットに投稿した映像コンテンツ=2020年6月、ニューヨーク(共同)
トランプ米大統領がスナップチャットに投稿した映像コンテンツ=2020年6月、ニューヨーク(共同)

 「表現の自由」とは、何を言っても構わないというわけではない。例えば日本国憲法は「公共の福祉に反しない限り」と制限を設けている。

 短文投稿サイトのツイッター社が8日、トランプ米大統領のアカウントを永久に凍結した。

 これに対し、ドイツのメルケル首相が「自由な意見表明の権利は極めて重要。干渉する場合は、法に沿って行うべきだ」と批判した。

 メルケル氏の批判について前段には同調するが、後段には与(くみ)しない。法による干渉は検閲であり、それこそ言論や表現の自由の侵害に当たる。そもそも米国憲法修正第1条は表現の自由を制限する法律の制定を禁じている。「自由」を守るためだ。

 本紙はこれまでも、ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)の運営会社に対し、悪意の排除に向けた「編集者」としての自主的な取り組みを求めてきた。過激テロの勧誘や違法薬物、児童ポルノの売買などがこれに当たる。

 「暴力を誘発する恐れがある」としたトランプ氏のアカウント停止理由もこの延長上にあり、私企業が排除を判断するなという短絡的な批判は的外れである。

 ただし巨大化し、強大な影響力を持つに至ったSNS大手が恣意(しい)的な政治的誘導に傾けば、制御不能の権力を生みかねない。自らを常に批判の対象とする姿勢が求められる。そのためには綱領を常時公表し、重大判断の際には「顔」の見える責任者が丁寧で明確な説明を行う必要がある。

 SNSに対する漠然とした不信感は、その経営実態や「顔」が見えにくいことに理由の一端があるのではないか。

 ツイッターのドーシー最高経営責任者(CEO)は13日になり、トランプ氏のアカウント永久凍結について「公共の安全を最優先に対応せざるを得なくなった」とする一方で、「公の場での対話を分断し、危険な前例になる」「開かれたインターネットという気高い目的と理想に破壊をもたらす」との懸念も示した。

 こうした生の逡巡(しゅんじゅん)の声が永久凍結判断の際に披露されていれば、だいぶ印象は違ったはずだ。

 SNSを誰よりも有効に活用したはずのトランプ氏が、決別を突き付けられた。この若い産業との付き合い方を、社会全体で考える必要がある。

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