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【主張】トランプ氏弾劾 党派対立にのめり込むな

 米下院本会議は、トランプ大統領が支持者をあおって連邦議会議事堂を襲撃させたとし、「反乱扇動」の責任を問い罷免を求める弾劾訴追決議案を可決した。

 決議は上院に送られ、本会議で弾劾裁判が開かれる。トランプ氏在任中の裁判終結は日程的に困難なことから、開始はバイデン次期大統領が就任する20日以降になる見通しだ。

 米民主主義の根幹を揺るがせた事件である。5人が死亡し、訴追対象は数百人に上るという。トランプ氏の責任を含め全容を明らかにすべきは当然だ。

 ただし、弾劾裁判は一般の司法手続きと異なり、政治的な判断が大きく影響する。仮に罷免となってもトランプ氏退任後のことだ。それでも、民主党側には公職追放とし、次期大統領選の出馬を封じる思惑も指摘される。

 懸念されるのは、弾劾を機に党派対立が一層激化することである。米社会の分断は深刻化している。議事堂襲撃事件自体がそれを顕著に示すものだ。

 バイデン氏は20日の就任演説で改めて「融和」や「団結」を呼びかけることになろう。弾劾裁判の丁々発止がそれを打ち消すことになってはなるまい。

 重要なのは、バイデン次期政権を実質的にスタートさせることだ。政府高官人事に権限を持つ上院は何より、閣僚らの承認手続きを最優先してもらいたい。

 昨年11月の大統領選一般投票後、トランプ氏が敗北を認めようとしなかったことで、政権移行手続きが遅れた。バイデン次期政権の外交姿勢も明確には示されていない。

 米国の「不在」をつき、中国は日本を含むアジア、アフリカ諸国との間で外相による対面外交を進め、北朝鮮やイランなども対米牽制(けんせい)の言動を繰り返した。

 バイデン氏が目指す国際協調の構築には時間がかかろうが、国内の党派対立に足を取られ、始動すらできない事態が懸念される。

 トランプ氏は、議事堂襲撃について「暴力を明確に非難する」と表明したが、弾劾訴追となったことには触れなかった。

 事件の直前、トランプ氏は支持者らに議事堂へのデモ行進を呼び掛けた。その責任を取り、自ら辞任を表明するのが筋ではないか。それが、国内の分断を止め、米国が世界に復帰する近道である。

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