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【世界の論点】EU・中国の投資協定 中国の巨大市場をEUは捨てる気がない

欧州連合(EU)と中国が開いたオンライン形式の首脳会談に参加するマクロン仏大統領 =2020年12月30日(ロイター)
欧州連合(EU)と中国が開いたオンライン形式の首脳会談に参加するマクロン仏大統領 =2020年12月30日(ロイター)

 欧州連合(EU)と中国は7年近くに及んだ投資協定交渉で大枠合意した。1月20日の米政権交代が迫る中、昨年12月30日という年末ぎりぎりのタイミングで難航していた交渉が大枠合意に達した背景には、バイデン米次期政権の対中政策が不透明なことがある。中国は米主導の「対中包囲網」の切り崩しを急ぎ、EUは中国市場のアクセス確保を狙って歩み寄った。EUでは、経済大国ドイツが対中合意の原動力となった。

≪ポイント≫

 ・交渉妥結はメルケル首相の譲れない一線

 ・協定は中国労働者の権利向上で圧力可能

 ・中国の巨大市場をEUは捨てる気がない

 ・中国がTPP参加を協議するための基礎

■欧州 交渉妥結は「独首相の勝利」

 EUで中国との投資協定を推進したのは、ドイツだった。3日付フランス紙ルモンドは「メルケル独首相の大きな勝利」と評し、その外交手腕を分析した。同紙によれば、メルケル氏は「唯一の好機」として、2020年中の交渉妥結に強くこだわった。

 第1の理由は、20日に迫った米政権交代だ。バイデン次期大統領は対中政策で同盟国に連携を求める方針で、EU外交は「選択肢が狭められる」可能性があった。

 第2には新型コロナウイルス流行によるドイツ世論の変化がある。「米中に対抗し、欧州の独自性を求める声が強まった」ためだ。さらに昨年11月、米大統領選でバイデン氏の当確が報じられると、ドイツは対米関係改善への期待に沸いた。

 EUの対中輸出額は19年、約2千億ユーロ(約25兆円)で、ほぼ半分をドイツが占める。中国が15年、ハイテク育成に向けた国家計画「製造2025」を打ち出して以降、ドイツ産業界では「中国市場から締め出される」との懸念が強まり、市場アクセス確保のため、投資協定は死活問題とみなされていた。ドイツがEU議長国を務める20年後半、7年近くに及ぶ対中交渉を妥結させることは、メルケル氏にとって譲れない一線だった。

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