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【赤の広場で】年始の帰国を断念 思い出す「上司の訓示」

 新型コロナウイルスで年末年始の一時帰国を断念し、モスクワで新年を迎えた。日本で行うべき手続きなどがたまっているが、日本入国後の2週間の隔離義務、空港から隔離場所までの公共交通機関の利用不可、ロシア再入国後の2週間の隔離などを考えると、帰国は非現実的だった。

 そうした中でも、家庭の事情でロシアから一時帰国した日本人もいる。彼らからは「公共交通機関が使えず東京から家族のいる九州までレンタカーを運転した」「3週間の休暇をもらったが自由な日は1、2日しかなかった」といった苦労話を聞かされた。

 「記者は警察官や自衛官と同様、365日24時間が仕事だ。親の死に目にも会えないと思え」。モスクワで正月を過ごす間、入社した15年前に当時の上司から受けた訓示がしきりに思い出された。新型コロナにより、世界中のあらゆる人が多かれ少なかれ同じような立場に置かれたはずだ。結婚、葬儀への出席、就職などで思い通りにならなかった人は数限りないだろう。

 そうしたことを考えれば自分が帰国できないことなど些末(さまつ)だ。新型コロナの早期収束にはワクチン開発だけでなく、公のために自分の私心を抑え、我慢することが必要だろう。2021年が多くの人が笑顔を取り戻す年になることを願っている。(小野田雄一)

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