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【主張】NATO報告書 結束して中露に向き合え

 北大西洋条約機構(NATO)が今後10年間の課題をまとめた報告書「NATO2030」を昨年末に公表した。その特徴は、NATOが取り組むべき対象として、軍事拡張を続ける中国を「ロシア」や「テロリズム」などと同列に取り上げたことである。

 NATOは2019年の首脳会議でも「中国の脅威に対応する必要がある」という宣言を採択した。今回はさらに踏み込んで、「中国による安全保障上の課題を議論する諮問機関の設置」を提案するなど、中国からの挑戦により多くの時間や政治的資源を割くよう「行動」を求めた。

 旧ソ連とロシアの脅威に専ら対応してきたNATOが、中国の脅威に正面から向き合う方針を固めたもので、意義は大きい。

 報告書はNATOのストルテンベルグ事務総長が指名した専門家グループが作成し、昨年12月の外相理事会で議論された。今年予定される首脳会議で、ストルテンベルグ氏がNATOの行動指針として提言する。

 NATOが2010年に採択した「新戦略概念」はミサイル防衛をめぐる対露協力が中心で、中国の影は薄かった。だが、ストルテンベルグ氏が「(報告書は)安全保障環境が根本的に変化した事実を反映している」と述べたように、直近10年間で中国は経済力、軍事力を増大させ、インフラ買収やサイバー攻撃などで地理的に離れた欧州にも脅威を広げた。

 NATOはトランプ米大統領の就任以来、国防費などをめぐる米欧間の亀裂によって、フランスのマクロン大統領が「脳死状態」と呼ぶ事態にまで陥った。報告書はこの点にも触れ、結束強化の重要性も強調した。

 米次期大統領就任が確実になったバイデン前副大統領は同盟重視を掲げているが、亀裂の修復、結束強化は急務である。

 今年は、中国共産党創建100年の節目であり、ソ連崩壊から30年となるロシアも9月に下院選挙を控える。両国が国内向けの「成果」を示すため、さらなる挑発に出る恐れも指摘されている。

 昨年12月の外相理事会には日本もパートナー国として参加し、NATOは「自由で開かれたインド太平洋」構想の心強いパートナーだと訴えた。東アジアの安定を維持するため日本とNATOは協力を一層進化させるべきだ。

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