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【世界の論点】新型コロナの1年

自身が新型コロナに感染し、テレワークで閣議を仕切るマクロン仏大統領=12月21日、パリ(AP)
自身が新型コロナに感染し、テレワークで閣議を仕切るマクロン仏大統領=12月21日、パリ(AP)

 昨年12月、中国・武漢で新型コロナウイルスの「初症例」が確認されて1年。世界の感染死者数は170万人を超え、2020年、コロナは市民生活のみならず国際政治をも翻弄して変容させた。仏メディアは、コロナ対応で加盟国が内向きになった欧州連合(EU)の無秩序を嘆き、民主主義の脆弱(ぜいじゃく)さを露呈したとして警鐘を鳴らした。世界最悪の感染拡大に見舞われた米国では、一貫性のないメッセージを発し続けたトランプ政権をメディアが厳しく責めた。

≪ポイント≫

 ・教訓生かせず再び「無秩序」に陥ったEU

 ・欧州が望みを託すワクチン接種の広がり

 ・第二次大戦の戦死者を超す米国の死者数

 ・脅威を軽視したトランプ政権に重大責任

フランス 世界秩序の支配力失った欧米

 年末の欧州は、英国での変異種ウイルス出現で大わらわになった。EU加盟国は20日、相次いで英国からの入国禁止を宣言し、協調行動ができなかった。

 フランス紙ルモンドは22日付社説で、EUが今年1年の教訓を生かせなかったと嘆いた。「指導者たちは過去の失敗から学び、力を合わせるようになり、感染対策は前進したはずだった」。EUは今春、イタリアで初の集団感染が発覚した際、バラバラに国境閉鎖した反省から、感染対策の連携を目指したのに、またも「ひどい無秩序」に陥ったと指摘した。

 ルモンドは、EU各国が「(都市封鎖という)強制措置をとりながら、個人の自由を尊重する」という2つの重要課題の狭間(はざま)で揺れ動いた1年を振り返り、「失敗は明らか」と論じた。第1波でドイツは連邦制の柔軟性を生かして感染抑制の「優等生」となり、スウェーデンは国民の自主性を重視して集団免疫を目指したが、第2波で両国はともに感染急増に歯止めがかからない。ルモンドは、欧州にとって「ワクチンは希望の光」だと位置づけ、接種の広がりに望みを託した。

 21日付仏紙フィガロは「ひどい1年の教訓と希望」と題した論説を掲載した。新型コロナの被害が特に米欧で深刻化したことに触れ、「民主主義の脆弱(ぜいじゃく)さを無残にあぶり出した。米欧は疫病を抑え込めず、世界秩序を支配する力も失った」と危機感を示した。

 明るい材料としては、医学史上、未曽有のスピードでワクチンが開発されたことを挙げた。経済のデジタル化、地球温暖化対策の進展は「21世紀の資本主義を決定づける2つの革命」だと位置付けた。

 フィガロによれば、EUにとって大きな前進は、危機克服のために債務を共有する7500億ユーロ(約93兆円)の復興基金設立。さらに、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業に対するデジタル規制だ。「資本主義や民主主義再建に向け、教訓は明らか。危機脱却に必要なのは、規制されたグローバル化の実現だ」として、国際社会の新たな連携を探るべきだと訴えた。ポピュリズム(大衆迎合主義)に揺れたEUへの教訓でもある。

 20日仏紙パリジャンの社説は、新型コロナでジスカールデスタン元大統領やデザイナーの高田賢三さんらが感染死したことを振り返った。「新型コロナ危機は、1989年のベルリンの壁崩壊や2001年の米中枢同時テロ以上に注目を集める歴史的事件になった」と論評した。

 年末年始、欧州各国は感染対策の厳しい規制が続く。ワクチンに大きな期待がかかっている。(パリ 三井美奈)

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